住み慣れたウチ

引越の時が近付いている。
このウチに住むのもあと一週間くらいだ。


高校を卒業してから一人で暮らすようになってから、いろいろなところに住んだ。住む街の魅力というのもあるし、そこに住むこちらの事情というのもある。

こちら側の事情もいろいろと変動するので単純な比較はできないのだけど、今のウチは本当にいいところだった。もちろん「住めば都」「人間至るところに青山ありき」の心がけで過ごすようにしているので、いつだって「今住んでいるところがベスト」になるようにしている。しかし、この先に機会があれば「またこの場所のこの部屋に住みたい」と思うほど、いいところだった。


年を取るといろいろなことが面倒になるものだ、という持論がある。ここに住んで、外で飲食するのが本当に面倒になった。

新しい店に身を委ねようと動くことが面倒になったのかも知れないし、単に外でお金を使うことがバカらしくなったというのもあるだろう。

外で食事をしない分、自宅で料理するのは別に面倒でも何でもないので「年を取っての面倒臭さ加速」によるものではないのかも知れない。

言い換えると「自分が心地よいと感じる環境」を熟知してきて、その環境を作り上げる能力も追い付いてきたのかとも思う。

再来週から過ごすであろう新たな街への期待がないわけではない。しかし、その街でも僕は自分のために心地よい空間をそれなりに作るだろう。ワクワクする部分は若い頃と比べると随分減った。ドキドキすることも減っている。

人から見れば、「どの街で、どの部屋でも、代わり映えのしない生活」を送っているように見えるかもしれない。

生活スタイルが定まってきたおっさんが過ごすのだから、そうそう変化はないかも知れないが、内面では少しくらいはワクワクドキドキしているのですよ。そして、この部屋を離れることに少しだけセンチメンタルにもなっているのだ。


f:id:datetaira:20200405215512j:plain

あらかた食べているが今夜のメシ。
このウチでゆっくり食事をするのも最後かも…と思うと感慨深くもあるが、僕の食卓献立はどこに行こうともそんなに変わらない。僕にだけ分かる『超個人的なセンチメンタルさ」に溢れた献立なのである。…嘘だけど。