夏の漬物②

夏の漬物たちが健やかに育っている。
あたかも我が子のような書き方だけど、実際にその成長ぶりが気に掛かるし、楽しみである。


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一昨日、漬け込んだ柴漬けはあっという間に水があがった。写真は昨日の朝のものだから、一晩もあれば驚くほどに水が出てくる。

胡瓜も茄子も水分含有の多い野菜だから、絞れば絞るほど水が出てくるのだ。塩を加えて重石することで、余分な水分を抜いて野菜に塩を馴染ませていく。出てきた水を指にとって舐めると塩っぱい。これが結構塩っぱいレベルでないと、塩加減が足りない状態だから、具合によっては塩を足すと良い。

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そしてこれが今朝の様子。
ジャボジャボに出てきた水はある程度捨ててしまう。
更に重石をして、水を抜いていく。ここで注意するのは水を捨てすぎないこと。野菜が水に浸りきらないと、そこから傷んでいく。自ら出てきた水分につけきって溺死させてしまうようなイメージだ。

この間に少しずつ乳酸発酵が始まる。
昨日塩っぱかっただけの水も今朝は少し酸味を帯びていた。乳酸発酵が始まった証だ。

この状態を維持して、乳酸発酵の進行を促す。
数日して発酵が進んでくると、赤紫色の液体に灰汁とか湯垢みたいなものが浮いてくる。これを初めて見た人は「ダメだ、傷んだ!」と思うかもしれないが、これは乳酸菌の死骸であり乳酸発酵されている証拠だから、心配はいらない。




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一方、梅干しも順調に乾いていっている。
写真は昨日の朝のもの。
一昨日。干し始めた時よりも大分ドライになり、水分が抜けてきた。干し始めて乾燥が始まると梅が笊にくっつく。タイミングを見ては梅を裏返して、全体が万遍なく乾くように干す。

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そしてこれが今朝のもの。
乾燥は更に進み、随分シワシワになってきた。
梅から水分が抜け、酸味と塩気と梅の旨みが凝縮するそうだ。

梅雨明けの日差しの強い日(本来は土用)に、三日間ほど干すそうである。昼間は陽にあてて、夜は夜露にあてて…らしいが、夜露なんて降りない。山間部の農村の軒下とかなら夜露も降りるのだろうけど…。


旅の間もだけど、旅から戻ってからの数日は天気もカンカンで体温を越えるくらいに暑い日が続いている。
夏の暑さを毛嫌いする人もいるが、僕は夏の日差しと暑さが大好きだ。

こうして自然の力を借りて美味い漬物を漬けよう、と思うようになってから、一層夏の暑さを好きなったように思う。