黒澤明の食事

クロサワ映画を初めて見たのはいつだろうか?

テレビで「生きる」をやっているのを小学校高学年くらいのときに断片的に見た気がする。その後、大学生のときには黒澤映画に登場する三船敏郎の無頼な雰囲気にしびれあげていたりした。三十郎だったり四十郎だったり、菊千代だったり…。


そんな黒澤明は美食家というか健啖家なのだが、彼の娘が記した「黒澤家の食卓」という本の中から一品を作ってみた。

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カラスミとバターを練ったものでピカピカの新米御飯を美味しく食べてやろう…という狙いによるものだ。

幸い、昨年安くに売られていた鰡で作ったカラスミもそろそろ食べ頃だろう。あれを使えば丁度いい!ということで作っただけだから、わざわざ高価なカラスミを買ってくるまでのことではない。

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カラスミをポロポロに卸して、室温で柔らかくしたバターと混ぜる。

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本当にただそれだけのこと。

こんなの料理でもなんでもないが、カラスミを作る時にはそれなりに手をかけたので、ゼロから作ることを思うとそれなりに手間だ。何しろ一年に及ぶ熟成期間も必要だ。


カラスミとバターなんていうと高価で贅沢な食物のように思う人もいるだろうが、何しろ安価な自作カラスミなので何も高価ではない。高価であることと贅沢であることは結びつかない。

仕込みから一年くらいかかっていることを鑑みれば、贅沢な食物なのだろうと思うが、ここにおける贅沢は僕が生きていくうえで欠かしてはならず、忘れてはならないことだと思う。