秋の御馳走についての備忘録②

先日の「御馳走についての記述」の続き。

f:id:datetaira:20201027213849j:plain

平素は「農協で安く売っている野菜」とか「スーパーで夜に安く売られている魚」とかを料理して、何にしても「安くて美味しい」ことを最優先に食事をしている。

日々、美味しいと思うものを食べてばかりいるが、高価なものはそんなに食べない。「時間をかけて下拵えする」とか「季節のものを食べる」という点では贅沢をしているように見られることもあるが、手間暇かけた粗食を楽しんでいるつもりだ。

しかし、件の舎弟と遊ぶ時などにはそれなりの贅沢をしたりもする。その一つが今回食べた松茸である。


子供の頃は、田舎の山で松茸が採れていたので、秋になると山に出掛けて自分たちで採ってきた松茸を食べたりしていた。ワンシーズンに3〜4回くらいだろうか?

味覚の発達しないガキに松茸の味が分かっていたのかどうか疑問だけど、松茸は美味しいものだと思って喜んでいたし、とりわけ松茸御飯が好きだった。

これはやはり「松茸の味」というよりも「炊き込みご飯」が好きなだけだったのかも知れない。


父親が喜んで食べていた松茸料理といえば、焼松茸である。松茸には柑橘の香りと酸味が一番だと言うことは僕もおっさんになって気が付いた味だ。

松茸の香りと歯応え、そして柑橘類の爽やかさ。
加えて、一緒に食べる春菊。
春菊の香りと松茸の香りも高い相乗効果を持っているようにに思う。「〇〇と〇〇」といった食物のコンビネーションは色々あるが、松茸と春菊を上回るものはそう思いつかない。


今回食べた松茸はアメリカ産のもの。
国産や中国産のものと比べると随分と安い。それでも他の食材と比べれば高価な食物だ。

しかし、この香りを楽しみ、美味しさを話題にすることを思えば、無駄な高価さではない。世の中には、別に大した味もせず、なんの喜びも生み出さないような「誰かが儲けるためにあるだけのような外食や中食」は沢山あるのだから。