暮れの出来事② ストーブ修理

少し前から数年ぶりに石油ストーブを稼働させていたのだが、どうもこいつの調子が良くない。


このストーブは乾電池を入れて電気的に着火をする仕組みになっているのだけど、そんな着火装置による火の付きがあまり良くなかった。これは何年も前からのことなので、とっくにそんな装置のことは頼らなくなっていて、着火は専らライターで芯に直接火をつける…というクラシカルスタイルを取り入れていた。

レバーを下げて芯に火を付けるのだけど、ライターで火を付けてもこの火がすぐに消えてしまうのだ。よく見れば芯はガチガチに焦げて金属のように硬化していて、見るだけで「こりゃ火も付かないよな…」と思うような有様だった。


そこでストーブの芯についてネットで調べてみると、5年とか7年とかで交換の必要があることを知った。使い方にも因るが、だいたいそのくらいで寿命を迎えるようだ。半永久的に使えるものではなく消耗品なのだ。

今のストーブを使って多分10年目、間に2年間使っていなかった期間があるので、僕のストーブの芯も世間一般並の劣化速度だったようだ。


新たに買い求めることにしたアラジンの反射型ストーブの芯。この品物が、そんなに売られていないことも新たに知った。ネット通販ではブルーフレームのものばかり…というか、ブルーフレーム用の情報しか出てこないくらいだ。

品番を細かに入れて色々とネットで検索するとようやく一件のみ、所望の芯を扱っているところを見つけた。コレを見つけるまでの意外に長い道程。既に僕のストーブのメンテナンス部品は市場では超マイナーなものになっていて、この先の供給も危ういのだろうと感じずにはいられなかった。そこで「一生分の替え芯を!」と思い3つの芯を注文した。


待つこと一週間あまり。
注文先には在庫がなく取り寄せだったようで、やはりすぐには届かなかったが、ようやく今夜届くという状態となった。

後数時間で芯が届く!
待望の芯が届く前に、芯の替え方をネットで調べてみた。


…予想はしていたのだけど、やはりここでもブルーフレームの記事ばかりだ。ブルーフレームの芯交換については丁寧な動画まで幾つもあるような状況なのに、反射式ストーブの芯交換なんて本当に見つからない。

アラジンの存在価値はブルーフレームであることしかないのか⁉確かにブルーフレームはお洒落でよく出来たストーブなのだろうけど…。


数多くのブルーフレームの記事の中から、どうにか反射式の石油ストーブの記事を見つけて読んで見る。僕が見つけたものは細かな機械構造に関するものではなくて、分解の手順がごく簡単に記録されているだけのものだった。

しかし、石油ストーブというものの構造は簡素で、どういう仕組みで灯油を燃やし、火力の調整をするのかがよく分かった。

そうした仕組みが分かった結果…。
新しい芯などに頼らなくても、古い芯をメンテナンスすればまだイケる!はずだ。そこで早速、分解してみることにした。

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凄く厚く堆積した埃。
精密機器ではないけど、10年近くノンケアであれば、この埃のせいではなくとも、そりゃガタは来る。

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ガチガチに焦げた芯の先端をハサミで切り取って、柔らかな芯に火をつけられるように露出部分を整えれば芯のメンテナンスは完了。
試行錯誤で初めての事だったので、少し時間がかかったが、次回からは10分もあればできるくらいのシンプルな作業だ。結果的に新しい芯を使うことなく、ストーブの着火不具合は解消された。3つも買ったのだから、僕は本当に一生分の芯を手に入れたのだろう。



これで修理も完了!
…と、思っていたら、とんでもなかった…。


試運転に入る段階で他の不具合が発生して、2時間くらい石油ストーブと格闘することとなった。

そこの修理内容については細かに記さないが、免震装置が過剰反応して、すぐに火が消える…というストーブとしては致命的な不具合だった。

コンピュータで制御されているような精密機器ではなく、機械式の無骨な昭和の道具。だからこそ、シロウトの僕のメンテナンスや修理でどうにかなる部分もある。


ごく「日曜大工的」な修理でどうにか普通に使えるようになったのだが、修理出来たこと以上に、長く使い続けたいと思う好きな道具の構造を理解して、この先の修理も出来るだろう…という自信を持てたこと。

1年の終わりに得た大きな成長だと嬉しく思っている。