野菜と野草

春になると…いや、厳密に言うと、春の訪れを期待し始める頃から、苦味や香りの強い「野草のようなもの」を食べたくなる。

このことは過去にこのブログに記しているはずだから、興味のある方は過去の記事を検索してみていただきたい。


この習性はやはり変わらないようで、今年も年明けから苦味や香りの強い「野草のようなもの」を好んで食べている。

「野草のようなもの」と記述するのにも、それなりの理由がある。僕の食べているやつはスーパーで買ってきたものだ。れっきとした流通経路に乗せられて、それなりにスーパーが設けを出すために「商品」として世の中に出回っているものだ。

本来の野草とは、誰かのためを想い野原に出て袖を濡らしたり雪が積もったりしながら自らの手で積んできたものとか、山に生えたやつをとってきたもののことだと思う。

スーパーに売られている段階で、そいつは「野草」ではなく「野菜」なのだと思う。


さて、呼び方はともかく、この数ヶ月は野草を楽しんでいる。菜の花、芹あたりがその中心になるのだけど、苦味のある青菜は何故こんなにも美味いのだろうか?

f:id:datetaira:20210323223641j:plain

そんな中、先日「つるむらさき」を食べた。

よく行くスーパーで、少し古くなった野菜が破格で見切り品として売られているのだけど、この見切り品を僕はよく買う。なんと言っても安いからだ。

今日食べている「つるむらさき」は、それを食べたくて買ってきたのではない。法蓮草だと思って買ってきたら間違っていて、たまたま手に入れただけのものだ。

人生において「つるむらさき」を食べるのは二度目だ。一度目は、もう15年くらい前のことになる。

岩手県に住む親戚のウチに遊びに行った時に、夕食に塩茹でにした「つるむらさき」が出てきたことをよく覚えている。

そいつの青臭いこと!

僕が好んで食べるのは菜花も芹も、嫌いな人から見れば「野菜ではなくてそこらの草!」としか感じないのだろうけど、そんなレベルではなくて「青臭い草」のようにか感じられず、もう二度と食べたくない…なんて思った程だ。

そしてとても久しぶりに食べてみて改めて思ったのは「僕はつるむらさきが大嫌いだ」ということ。


…と考えながら、いつか「つるむらさき最高!」とか言う日が来るのではないか?とも思ったりしている。だって僕だって子供の頃は「素麺に茗荷なんてない方がいい」と思っていたし、「おつゆに入れられた山椒の葉は香りが出る前に急いで取り除いていた」し、「茄子は色が気持ち悪いから食べない主義」だった。

人の好みは歳とともに変わる。
もしかしたら…と思ってみたが、やはりつるむらさきは二度と食べたくない。