烏賊の塩辛を自分で作るようになってもう20年くらいになるのだろうか?
烏賊の塩辛は好きではあるが、年に一回くらいの頻度でしか作らないし、度々食べたくなるものでもないから、本当はそんなにも好きではないのだろう。
しかし、自分で作ったものを食べると凄く美味しいと思う。けれど、長らく買ったことはないけど、市販のものや表で出された烏賊の塩辛を凄く美味しいなんて思ったことは一度もないから、僕は「自分が作った食物がとにかく好き」なだけで、その一環として自作塩辛を愛でているのだろう、きっと。
さて、僕と塩辛の距離感はともかく、先日烏賊の塩辛を久しぶりに自作した。この2年くらいは作っていなかったようだ。いや、もしかしたら3年くらいかな?
食べたくて矢も盾もたまらず…という訳では無い。
魚屋で烏賊が1杯100円くらいで売っていたので作ってみたのだ。
烏賊の塩辛の作り方はとにかく単純だ。
烏賊を捌いて塩に漬ける。そして寝かす。
これだけ!
トウシロにも分かるように注意点を記しておく。
■烏賊は丁寧に捌く。
■足の吸盤を全て取り除く。
■皮もちゃんと剥く。
■ワタの墨袋も取り除く。
■口は焼くと美味いので捨てずにとっておく。
■ワタはこれでもかというくらい塩をかける。
■そのワタは一晩くらい寝かせて生臭い汁を抜く。
■烏賊は好みの大きさに切る。
■烏賊単体にも塩を揉み込んで馴染ませておく。
■塩加減も好みだが少ないと早くに傷んでしまう。
■数時間(翌日)後、烏賊とワタをよく混ぜる。
■早いうちは烏賊のワタ和えとして美味い。
■数日経つと身がこなれて塩辛になっている。
10年ちょっと前に、ワタと身を和える際に一味唐辛子を加えることを思いついた。とても美味いけど、その唐辛子塩辛の味は、そこはかとなく明太子の美味しさに似ていた。あまりにも邪道な気がしたので、以来一味唐辛子を加えるのはやめた。
そしてこの直後、一味唐辛子の代わりに柚子胡椒を加えることを思いついた。これは柚子胡椒の塩辛さによる調味と柚子の香りによって烏賊の生臭ささが消えることから、僕だけでなく客人にも大いに受けた。そして僕にとっては「完全定番の烏賊の塩辛」となり、長年愛されるに至った。
今回の烏賊の塩辛は塩だけで漬けた。
柚子胡椒を足すという行為は新鮮な烏賊への冒涜のようにも感じられたし、そもそも僕が食べていたものは柚子胡椒を美味く食べるために烏賊があったのではないか?それを烏賊の塩辛と呼ぶか?…そんなふうに思ったからだ。
従って、今回の烏賊の塩辛は生臭い。
美味いが過去のものほど箸は進まない。
これが現在のところの現実だ。