雨降りの休日。
買出しも済ませたので、午前中は部屋の片付けとか冷蔵庫の整理とかしていた。
僕はナチュラルチーズをよく買う。
食べるのだけど、残しているうちに冷蔵庫の低温乾燥でカチカチなドライスタイルになってしまうことが多い。
そうしたものは決して捨てずに取っておいて、半年に一度くらいフードプロセッサーで摺り下ろして、粉チーズにする。ブルーチーズとパルメザンが多いので、そこらで「粉チーズ」なんていって売られているものとは香りと格が違う。余り物なのだけど…。
そんな作業の後、今日は昼ごはんにバジルのスパゲッティを作って食べた。
バジルも冷蔵庫の余り物である。先週、めちゃくちゃ安くに売られていたものだ。バジルが欲しかったのではないけど、イタリアンパセリ2パック、バジル3パックの5パックの抱合せで100円で売られていたのだ。大抵そうしたハーブは1パック198円で売られているので、凄い安さである。
欲しかったのはイタリアンパセリで、そいつは買って来たその日に食べた。バジルは特に食べるつもりもなかったので冷蔵庫で乾燥させてハーブではなくスパイスとしてこの先いつか使おうと思っていたが、そのうちの1パックはフレッシュなうちに食べておくのも良いなと思ってスパゲッティを茹でた。
僕が初めてバジルのスパゲッティを食べたのは高校生になってからだと思う。
過去にこのブログに書いたこともあるが、僕が幼稚園児〜高校生くらいの間に「日本の大衆が食べるスパゲッティ」は随分と変化した。
スパゲッティというものが、柔らかく茹でた麺をケチャップ味で炒めたものだった時代。そして乾麺を茹でて、そいつに缶詰のソースをかけて食べる時代。
洋食としてのスパゲッティがイタメシと呼ばれるようになり、スパゲッティではなくパスタと称されるようになった。
ところで僕は「パスタ」という呼称が好きではない。細長い麺状のパスタ出会っても、スパゲティーニだったり、カペリーニだったり、タリアテッレだったり、正式な呼び名は色々とあってスパゲッティと呼ぶべきものは一部のものに限られていることは知っている。しかし、麺状のものならば「スパゲッティ」と呼びたい、と言うかそう呼んでいる。至って個人的な好みの問題だが…。
当時の僕の家のスパゲッティはミートソース一辺倒だったのだが、母親がどういうわけかシーズニングスパイスと調合されている瓶に入った「バジリコ」を買ったきたようだ。
その頃はバジルと言う言葉よりもバジリコという言葉の方が一般に広まっていたように思うし、フレッシュなものよりも乾燥させて調味料と合わせたものが一般的だったのではないかと思う。粉末になっていたので「バジリ粉」と思っていた日本人も多いのではないかと思うくらいだ。
僕は初のバジリコスパゲッティを体験して間もなく実科を離れたので、その後の我家でのバジリコの人気がどうだったのか知らない。
初めてバジリコスパゲティを食べた時、「具が入っていないのに、この濃厚な味は何なんだろう?この香りも凄く濃い気がする」なんて思ったことを覚えている。味の濃厚さは数々の化学調味料によるものだったに違いない。
そんなバジリコスパゲッティを僕は嫌いではなかったが、特別に好きなわけでもなかった。
その後間もなく僕は大学生になり、スパゲティとの接触頻度が飛躍的に上昇する。奮発したときは「カプリチョーザ」でデートする時はトマトソース、金がなくてスパゲッティで食い繋ぐ時には醤油マヨネーズ、大学生の後半になってからはカルボナーラを作ることも好きだった。
スパゲッティはとても身近な食物で、本当によく食べていたのだけど、バジリコスパゲティは滅多に食べることがなかった。