今年は梅雨が明けるのが早かったので、7月のうちに梅を干す作業は終えている。
梅についてはあとは時間の経過が熟成を促すので待っておくだけだ。しかし、梅干の副産物として「ゆかり」を作るのも楽しみにしていた。
昨年の梅干作りの際に作ったゆかりはあっという間になくなってしまった。梅に色と香りをつけるには充分な量の赤紫蘇であっても、そいつを干してカリカリにして、粉砕してゆかりにすると、その量はとても少なくなる。仕込みの量の問題だけでなく、こいつが滅法美味いものだからあっという間になくなるのだ。
そんな訳で、今年は梅を漬ける時の赤紫蘇の量をこれでもかというくらい増やしておいた。
梅酢をたっぷりと吸い込んだ赤紫蘇は、梅を干すよりも長い時間かけて乾燥させる。梅は三日三晩干すが、赤紫蘇はそんな時間ではカリカリにならない。10日くらい表に干して、それでも大気中の湿気を吸い込んで湿って来たりするので、旅に出る前から冷蔵庫にラップもかけずに放り込んでおいた。
冷蔵庫というのは低温で湿度がなく、こうした時にはとても便利な熟成庫となる。旅から戻ってそいつらの様子を見てみるとカリカリどころかカチカチに乾燥していた。
これらをフードプロセッサーでガリガリと粉砕して完成。乾燥し過ぎるくらいに乾燥しているので、粉になった赤紫蘇が粉塵の様に舞い、それを吸い込んでしまって咽るほどだった。鼻腔に入った粉塵ゆかりからですら、紫蘇と梅の爽やかな香りとともに酸味まで感じるくらいだ。
自作ゆかりのファンは多い。
少しでも多くの仲間と賞味したい。
そんなことを考えていると、今年の赤紫蘇の量でも全然足りないようだ。
まぁ、美味しいものは足りないくらいの方が、それ恋しさによって脳内で美化されるものだから、これでいいのだろう。