先日、僕にしては長距離を歩いてみた。
歩いた翌日は尻から太腿裏側が筋肉痛になり、まだ翌日に何らかの肉体反応があることに驚いた。こうして歩いてみるのも、それ自体はとても良い事だと思った。
さて、僕が歩き回ったきっかけはハンバーガーチェーンが売名行為で繰り広げるキャンペーンに参加したのである、会社の金で。職場がこの不味いハンバーガーを売っている企業に世話になっているので、イベントの盛上げ要員として参加してあげたのである。
大切なことなので、もう一度記すが、僕は「ドナルドマクドナルハウス支援 チャリティーラン&ウォーク」というボッタクリイベントに参加して、僕は11キロくらい歩いたのだった。
参加費用を払うと、参加者はこの日に限って「1杯50円」でマクドナルドのジュースを飲むことが出来る。そして、そのうちの10円が病気の子供たちに寄付される…ということが謳われている。しかし、マックのジュースなんて原価は10円未満なのだから、これはチャリティに見せかけた「単にマクドナルドが儲けたいだけの販促キャンペーン」だ。
人々の多くを肉体的にも精神的にも堕落させておいて、何を偉そうに言っているのか?このハンバーガー屋は。
歩き回っている間に、僕は何軒かのマクドナルドでジュースを買って寄付をしたのだけど、日曜日の昼時と言うためか、どこのマクドナルドも家族連れでごった返していた。苦学生とか若者ではない。小さな子供を連れた家族連れでいっぱいだったのである。
そんな中で、ゴミクズのように感じる家族を見た。
貧乏チンピラのようなジャージ姿の両親と3人子供が注文した品を待っていた。待っている間、退屈になった子供の一人が別の子供にちょっかいを出して泣かせてしまっていた。
泣かせた子供も悪びれもせず、なおもちょっかいをかけ続ける。躾の出来ていないダメなやつだ。…と、思っていたら、親(ジャージのチンピラ父)が子供を諌めた。ただこれは注意をしてやめさせるとか、叱って間違いに気付かさせると言うようなものとは程遠い「苛つきを単に子供にぶつけただけ」というような、聞くに堪えない単なる悪態だった。説得力などあろうはずもない。
醜い家族が繰り広げるこの一部始終は、ジュースを買うために列に並ばさせられている僕の目の前で起こっているので、否が応でもこの様子が目に入るのだ。チンピラ親父の悪態は周辺の別家族にも聞こえるような状況だから、周りの人も随分と嫌な気持ちになっただろうと思う。
これでは終わらないのがこの醜い家族だ。
注文した品はたくさんのポテトと炭酸飲料、そしてハンバーガーの数々。それらが届くとジャージ家族たちは餌にでも群がる感じで貪り食い始めた。小さな子供も「まさに餓鬼」という雰囲気で食べている…と、ひとりだけハンバーガーを食べない奴がいた。
親に怒鳴られて泣いていた子供だ。
まだ泣き続けているので、そりゃ食べないだろう。
…なんて、思って見ていたら、今度は母親(ジャージ姿の肥満体、当たり前に不細工である)がなぜ食べないのかと怒鳴り始めた。これも「泣いていないで食べよう!」とか促すものでなく「あー、なんで食べねえんだよ!」って感じの食べないことを単に罵るものだった。
……こんな家庭では料理なんてほとんどしないのだろうし、ここで育った子供も当たり前のように、工業製品のようなものをメシだと思って食べるようになるのだろうと思った。
普段、マクドナルドに出掛けることはそんなにないが、この店にはそんな醜い光景が溢れかえっているし、この店がそんな醜い家族を育てる一因になっているだろうと、とても面白く感じた。
さて、そんなマクドナルドの詐欺活動のことを書いていたのだった。
世の中はこうしたボッタクリイベントで溢れ返っている。日本テレビが恭しく放送する24時間テレビにしても、障害者の不幸ぶりをそれらしくテレビ番組として放送して、センチメンタルになった人々から金を巻き上げるというよく出来た集金システムだ。
この番組のお陰で日本テレビ並びにその系列局は放送する夏場に相当の利益をあげている。チャリティのことだと、真正面から否定し辛くなるので、この手のキャンペーンをやる時には「どれだけ人道的なことに力を入れていて、今の世の中がどれだけ人々の親切な気持ちを必要としているか…」を怪しまれないように主張すればいい。ボロくて効率のいい設け方だ。
何であれ、ものを売ってお金を設けたいのならば、そのサービスの本質で勝負するべきだと思う。一部、宣伝をすることも大切だけど、そんなキャンペーンのために僕は金を払いたくない。
しかし、多くの消費者は「本質を見るよりもキャンペーンや宣伝の安直なわかりやすさ」でものを選び、何も考えずにキャンペーン費用を払って企業を設けさせている。何度も言っていることだが、こんな市場では本当の意味で景気が回復することなどないだろう。