クリスマスに食べたもの

クリスマスも終わり、年末年始の長期休暇を楽しんでいる。

特別に楽しいことをしている訳ではないが、会社のためにではなく自分のために時間を使えるというだけで休暇というのはいいものだと思う。


さて、先日のクリスマスイブは実に質素に過ごしたのだけど、その翌日は僕にとっては随分と贅沢な…というか、金のかかる食事を楽しんだ。

これは別にクリスマスだから張り込んだ訳ではなく、気の置けない仲間が集まる日が12/25だっただけだ。人の集まる12月下旬の土曜日が12/27だったらその日に御馳走を食べることになっただけだ。



僕が普段よく飲む酒は本当に安いウィスキーであることが多い。気高い香りなどしない、単にウイスキーであるというだけの酒なのだけど、慣れるとこれはこれで美味しい。

イイウイスキーを飲みたいとも思うが、日常的に飲む酒なんて「習慣によって好みが定められる」要素も強いから、なるべく安価なものを飲むようにしている。

イイものに接するのも大切なのだが、そうすると僕が今現在日常的に飲んでいる安ウィスキーなんて不味くて飲めなくなることが明らかだ。日々倹約に努めねばならない身としては「贅沢は敵だ」なのである。

そんな日常酒は飲まずにクリスマスにはスパーリングワインを飲んだ。シャンパンではないのでそこまで効果ではないが、平素のウィスキーとは比較にならない値段だ。

更にウィスキーはちゃんと香りのするものを飲んだ。普段、香りなどない安価なものに慣れていると「ちょっとしたウィスキー」を飲むだけで「これはウィスキーなのだろうか?この芳醇な香りはなんなのだ⁉」と思うくらいに日常との落差を楽しめる。


さて、クリスマスにメインディッシュとして食べたのはブイヤベースだ。安くて美味そうな魚があったから作ったのではない。ブイヤベースを作ろうと思って、その素材を買いに出掛けたのだ。

僕の普段の生活スタイルだと「素材を優先」するので、なにかの料理を作るためにその材料を買いに行くことは殆ど無い。出掛けた先で売られている食材の値段と鮮度と良し悪しを見ながら買うべき材料を選定しながら、何を作るのか考えていくのだ。

献立先行の料理なんて相当に不経済であるが「贅沢な料理」でもある。

ブイヤベースの材料は、食材の格の割にはとにかく安そうなものを選んだ。海老は大振りではあるが冷凍のバナメイエビである。牡蠣にしても冷凍のもの。活きの車海老やら三陸の殻付き生牡蠣を購入しない点が僕の貧乏人振りである。

世の中的には「売られている材料の良し悪しは気に掛けずに献立を決めるのが当たり前」だったり、「割高な出来合い惣菜とか加工品を買ってくるのが平気」な人も多くいるから、僕の行為は別に贅沢な事でもないのかも知れない。

ブイヤベースには普段使うことのないサフランも買ってきてふんだんに加えたので、僕の中ではやはり「相当に贅沢な料理」だったのだけど…。

キリリと冷えたスパーリングワインを飲んで、ブイヤベースを啜る。背徳の匂いが漂う夕食を友も子供たちと楽しんだクリスマスだったが、外食すれば美味くもない回転寿司くらいの費用だったように思う。