末娘の細やかな夢

中学生の末娘と一緒に勉強をしていることは、もう何度もこのブログに書いた。

ブログには別のことも書きたいとも思うのだけど、このところの時間の使い方が「中学生勉強」に傾倒しているので仕方ないのだ。


さて、娘と一緒に勉強をしていると「勉強以外の話」をすることも増える。そんな中で彼女から聞いた「彼女の夢」の一つが「フランスパンを一人で一本食べること」だそうだ。

僕は普段パンを食べることはそんなにない。
年明けに買ってきた8枚切りの食パンがまだ一枚ほど冷蔵庫に残っているような状況だ。

食パンなんていうものは一週間もするとカビが生えるものだと思っていたが、安売りで買ってきた工業製品の食パンには添加物もたっぷりと入っているのだろう。買ってきて一月近くになるというのに、まだほとんどカビずに無事に冷蔵庫に鎮座している。

そんな感じで、僕は滅多に自宅にパンを買ってこないのだが、年末に洋食を食べる時にバゲットを買っていた。その時に、末娘は凄く美味しそうに(そして一人で多量に)そいつを食べていたので「こいつはフランスパンが好きなのだな…」とは思っていたのだけど、まさか「一本を一人で食べるのが夢!」と言い放つ程にフランスパンを好きなのだとは思っていなかった。


そんな「娘の夢」を聞いたのは、この日曜日に勉強をしている時だった。土曜日だったような気もするが、勉強の合間合間に他愛もない話をしている時に「そんな彼女の夢」を聞いたのだった。

「そんなの簡単なことだよ。俺がすぐにフランスパンを買ってくればいい!そして、それをお前に食べさせるだけだ!」と僕は言い放ったのだけど、それに対して中学生の彼女は「すぐに買わなくていいよ。そんなに簡単に叶うと有り難みが薄れるから…」みたいなことを言った。


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その翌日、月曜日の僕はフランスパンを持って帰宅した。

彼女の夢を叶えるために買い求めたのではない。僕がすぐにフランスパンを買って来ることを(本心ではともかく言葉のうえでは…)彼女は望んでいなかった。

ソレを知っていながら敢えてフランスパンを買ってくるほど僕は天邪鬼ではない。本当に偶然のことに会社で「山崎製パンのフランスパン」を貰うことが出来たのだった。

「偶然にフランスパンを貰える会社って??」
そんなふうに思う人は多いのだろうけど、それは僕の勤務先においては起こり得る出来事なのだ。

「山崎のパン」を幾つも貰えた中で、僕は沢山のパンの中からフランスパンを貰って自宅に持ち帰ることを選んだから、それは「完全な偶然」ではない。しかし、そんな境遇に接した僕は「神の思し召し」かと思うくらいに驚きながら「躊躇することなくフランスパンを選んで」それを持ち帰った。


このフランスパンを末娘が食べるのは明日か明後日か?あるいは今夜なのかも知れない。「パンとか豆腐は朝に作ったものをその日のうちに食べる」それが生活の実りの多いものだろう…なんてことを知識で知った学生時代。

実際の社会活動の歯車に組み込まれてしまうと、そんな単純なことすらままならなくなることは、社会人として生活しているとよく分かった。

しかし、「娘の細やかな夢を達成させる」のは容易なことなのになった。焼き立てのパンを食べさせなくとも僕が会社から持ち帰ったパンは工業製品であるヤマザキのパンなのだから、日持ちもするに決まっている。

こんな手順で接することになった「夢が叶うチャンス」を彼女がどう捉えるのか?楽しみでもある。