モノホンのシナチク作り

もう二週間も前のことだが、シナチク作りを行った。

このブログに書いた「筍をつかったもの」ではなく、竹を採ってきて作った本格仕様のものだ。

筍を用いた偽物のシナチクを作っている間に、その製法が本来の作り方とは間違っていた事に気が付いた。やはりちゃんとした製法でモノホンのシナチクを作りたい。今年のこの時期を逃してしまうと来年まで待つことになりかねないので、早いうちに取り組む必要があった。

このことを会社で仲間たちと話をしていたら、一人の後輩がシナチク作りに参加したいと表明してきた。彼の実家には竹の生えた山もあるので、そこで竹を採ればいい!とのこと。

「渡りに船」というのようなタイミングでの後輩の出現で、ちゃんとしたシナチク作りに取り掛かるチャンスはすぐにやってきた。


天気のいいある休日、僕は後輩二人とともに隣町の奥深いところにある竹林にいた。見渡すと筍がニョキッと出ているのが見える。

筍のシーズンなんて1ヶ月以上前に終わっているはずなのにまだ生えているのか!と驚いていたら、そいつらはすべて立ち枯れていて、竹の皮の中は腐っているものだった。結構な数があったので、芽を出した竹も全てが育つわけではなく、途中で脱落していく筍があることにあらためて気付かされた。

短いものでは60センチ、長いものだと2メートルくらい。既に筍(竹の子)ではなく、竹「青年」くらいに育ったものをへし折る。力をかけても折れないものは既に竹として硬化していて、こいつはきっと食べられないと判断しての行動だ。

我々3人はこうして竹青年を手早く採取し、竹を提供してくれた後輩のウチに持ち帰る。この後輩氏の実家は仕出し弁当屋を細々と営んでおり、そこの調理場を貸してもらえるのだ!

細々とした弁当屋というのも失礼な言い方なのだが、決して大きな弁当屋ではない。しかし、一般家庭には無いような大きな鍋もあれば、コンロも業務用の大きなもの(チャッカマンで火を付けるプロ仕様のもの)なので、作業効率は飛躍的に上昇するのだ。


竹を適度な大きさに切り分けて大きな鍋にぶち込み、糠を加えてグラクラと煮る。

そもそも青い部分もある竹としてなので、食物を扱っているような気がしないのだけど、使ったこともないくらいに大きな鍋に竹を入れていると、いよいよ本当に食物じゃないものを触っているように思うものだ。

こうした手順で竹のアクを抜くのだが、ある程度成長した竹青年のアクは糠で茹でたくらいでは完全には抜けない。そのために次の手順があるのだが、それは次の機会に記す。