偽物シナチクのその後

数週間前に気合を入れて竹の採取から取り組んだ「モノホンのシナチク」は今日も乳酸発酵を無事に続けていることだろうと思う。

そいつとは別物の「偽物シナチク」の経過というか、その後について書く。


竹ではなく筍で仕込んだ「そもそも間違っているシナチク」は数週間前にカラカラに干してジップロックに詰めて、乾物とか放り込んでいるところに入れて放ったらかしにしていた。

そいつがふと気になったので、その半分くらいを水で戻して調理してみることにした。

塩を吹いて周りが白く鳴っている偽物シナチクをたっぷりと水を張ったボウルに入れて塩抜きをする。数時間の塩抜きにより、塩っぱさのなくなったものを食べてみるが全く美味しくない。

考えてもみると、そもそも筍というもの自体に濃い味やら癖のあるものではない。味がない訳ではないが、特に苦かったり甘かったりということもない。ほのかな甘みと穀物のような香り、そして歯応えが主たるあじわいのように思う。

そんな筍を水煮にして塩漬けにして、大して乳酸発酵もさせずに干して、挙げ句には水に浸けて塩抜きしたものなのだから、その味なんてものは大半が水に流れ出ているように思う。

そんな偽物シナチクを冷蔵庫にあった白出汁で炊く。この白出汁という食品はもらったものなのだけど、嘘くさい味がして調味料としては最低の部類のものだと思う。なにしろ「わざとらしい白出汁臭」がするのだ。

偽物シナチクを味付けするのにわざわざ出汁をとるのも面倒だったので、偽物には嘘くさい最低調味料でよかろう…と調理したのだ。


味付けしておいたシナチクは、昨夜、娘たちに中華蕎麦に添えて振る舞った。僕も少し食べてみたところ、そんなに美味くはないけど一応はシナチクになっていた。

筍とは一線を画す歯応えと僅かではあるが発酵食品っぽい独特の香り。味は薄めにしたとは言え白出汁によるものなので大したものではない。

これは事前に分かっていた事なのだけど、筍を縦ではなく輪切りの要領でカットしていた為、繊維が短くなっていてシナチクらしい食感も薄まっていた。これはモノホンのシナチク作りの際には改善しておいたので、歯応え抜群のやつが出来上がると期待している。