はらぺこあおむしちゃん

ここ数日、このブログには「我が家のアゲハ蝶の幼虫のこと」を書くことが多いのだが、今日はそこから派生した話について書いてみよう。我が家の幼虫の話ではない。

食欲旺盛の青虫は今日も元気に柑橘類の葉っぱを貪り食っているのだけど、そんな幼虫を虫籠に入れて育てていることを長女に伝えて、幼虫を見せびらかした。

長女はその幼虫の大きさに驚き、そして、気持ち悪がった。まあ、女子高生の反応としては「ごく一般的な反応」なのだろう。

僕は「こいつがどれだけ沢山の葉っぱを食べるのか?まさに『はらぺこあおむし』なのだけど、そう言えば、エリック・カールの絵本も昔はよく読んだなあ…」なんてことを娘と喋っていた。

すると娘から「はらぺこあおむし」に関する思い出として以下のような話を聞いた。

娘がまだ中学生で近所の塾に通っていた時のことだ。その塾には、いつもではないのだろうけど、僕が買い与えた「はらぺこあおむし」のTシャツを着て行くこともあったそうだ。

それから数年の時が流れ、娘が高校生になった時、別の中学校から同じ塾に来ていた子と娘は友達になった。

それまでは塾での顔見知りに過ぎなかったけれど新たに友達なった子は、高校で我が家の娘と友達になったことを、当時の塾に一緒にいた中学校が同じだった旧友に伝えたそうだ。

「ああ、あの『はらぺこあおむしちゃん』と同じ高校で友達になったの?」級友たちの反応はそんな感じだったそうで、娘は自分がよその中学生の子からは「はらぺこあおむしちゃん」と呼ばれていた事を知った。

「アイツら人のことを『あおむし』呼ばわりしやがって!ヌッ殺す!」娘はそんなことを言っていた。

僕は「はらぺこあおむしのTシャツ」を娘に与えたことをすっかり忘れてしまっていたのだけど、娘から聞いた話ではどうやら写真のようなものだったようだ。

「そんなデカデカとあおむしがデザインされたものじゃないのに!アイツら!」と『はらぺこあおむしちゃん』と呼ばれていたことを思い出した娘は憤っていたのだが、中学生なんてそんなものだ。

僕も中学生の頃は、従順で身体のデカい級友を「ゴーレム」と呼んでいたこともあるし、息子も中学生の頃には行きつけの理髪店にいるロン毛のおっさんを「桃白白」と呼んでいた。

更に言えば、僕の中学時代からはもう30年以上経つのだけど、中年の僕は近所のドラッグストアの店員を「ハゲオ」と呼んだりコンビニ店員を「デクノボー」と呼んだりしている。

渾名なんて、そんな身体的とか格好の特徴を揶揄して勝手につけるものだし、本人がそれを知ったら気を悪くするようなものばかりだ。

ハゲオとかデクノボーなんていうネーミング(というか単なる悪口!)と比べると「はらぺこあおむしちゃん」なんてカワイイ部類の渾名なのだから、娘には「名付けたそいつらをヌッ殺す」ことなどなく、大容に見てやって欲しいと思っている。