一過しない台風

9月になると台風がやって来る。

夏の暑さも去りきらず、そして秋の涼しさもなかなかやって来ないこの時期に、夏のものとも秋のものともつかないような台風がやって来る。

毎年のこの時期に台風が何発が過ぎていくことで、へばりつくように残っている夏の気配も一掃されて、気温とか湿度という「空気で感じる点」での秋がようやく本格的に始まるように僕は思っている。

さて、数日前からニュースにもなっている大型の台風はクルマよりもはるかに遅い速度で西日本に留まっている。

僕の住む町からは遠くはなれたところにいる台風なのだが、其の影響力の大きさによるものなのか、もう数日に渡って気持ちの良くない気候が続いている。今夜あたりには僕の住む地方でも線状降水帯が発生するようだ。

今朝、ちょっとした用事(青虫たちに食べさせる柑橘類の葉っぱ採集)で出掛けるために表に出たのだが、これまでに嗅いだこともないような「嫌な生臭い空気」が漂っていた。

何も僕が生臭いものを嗅いだ経験が無い訳ではない。その嫌な匂いはとにかく広範囲に渡っていて、町内を覆い尽くす付近一帯の空気全体が生臭いのだ。そこらを歩き回ったのだけど、その嫌な匂いはずっと感じられていたのだから、僕の鼻のそばに「なにか嫌な匂いのする物質」がくっついているではないかと思った程だ。

これが台風の影響なのか?秋口の気象条件によって発生するものなのか?はたまた、僕の住む町の全体を覆い尽くすようなトラブルによるものなのか?

原因は未だに分かっていないのだけど、とにかく嫌な空気だった。

そんな不快な匂いに包まれた町内を歩き回っていると、これから満開を迎えそうな彼岸座とクロアゲハを見かけた。

僕のうちのアゲハ蝶もそろそろ羽化してウチを出ていくのだろう。華麗に舞うクロアゲハと真っ赤な彼岸花

嗅覚に届く不快さは続いている中で、この赤と黒コントラストはこれから深まる秋を感じされるもので、僕の視覚をとても楽しませてくれるものだった。