節分の今夜も帰宅してから「冷蔵庫の常備菜を器に移してウイスキーに過冷却のソーダ水を注ぐ」という、僕にとってはルーチンワークともいうような行動をとっている。
昼間にコンビニに行くと「節分を単なる販促イベントとしてしか捉えていないような食物の代表格の太巻き」がずらりと並べられていた。
夜になり、残業後にコンビニを見てみると大抵の太巻きが100円引きとか30%OFFとかの価格で売られていた。今年も多くの太巻きが廃棄されるのだろう。
物価の上昇を嘆く一方で「そもそもの食文化を商業利用しているだけ」の季節行事に異論を唱えない社会の風潮は滑稽でしかない。…例年のことだが、そんなことを考えながら僕はコンビニ視察をしただけで何も買わずに帰宅したのだ。
今夜は…と言うか「今夜も」なのだけど、白菜漬と山葵漬を肴に酒を飲む夜だ。今夜はこの白菜漬について、記しておこう。
ブログの便利な点の一つとして「僕の行動記録」という側面がある。このブログを見返してみると、僕は12月の10日くらいに今年の白菜漬を仕込んだようだ。
勿論、ブログを見なくてもだいたいどのくらいの時期に仕込んだ漬物を食べているのかは理解している。このブログを見ないといつ頃作ったものなのかも分からないなんて風にはまだ耄碌していないのどけど、見返すことのできる記録があるというのはそれはそれで便利なようにも感じる。
二玉仕込んだ白菜を食べ始めたのは正月から。樽から上げても乳酸発酵は進行するので、日に日に酸味は強くなっていくし、強めの塩をあてて仕込んだ白菜もだんだんと酸味が増してくるに從って塩味もまろやかになってきて、そして旨味も発生してくる。
だいたい毎日のように食べる白菜なので日々の変化は手に取るように分かっている。今年の白菜のピークは1/25くらいだったのではないかと思う。
例年、樽から上げた白菜を冷蔵庫で追熟させてその変化を楽しむのだけど、酸味が出てきてからそれが旨味に変化してきて、その先はなんとも説明しがたい燻製のような香りを発生するようになってくる。
経験に基づくと、この期間は漬け込んでからだいたい2ヶ月のように思っているから、今年の「説明しがたい旨さ」に達するまでにはあと一週間くらいの時間を要するのだろうが、現段階では一週間くらい前の段階が一番美味かったのではないかと捉えている。
白菜の旨味を堪能する時期は例年いつも年間で一番寒い時期だ。そんな寒い時期を白菜の旨さで誤魔化していると気付かぬうちに春がやって来ている。
太巻きがない食卓なんて僕にとってはが当然のことだが、鰯や柊がないのは多少寂しい。しかし、季節の移り変わりを考えるには「節分」という行事は美しいものだと考えながらウイスキーを飲む。