貧乏人のパスタ

娘が一人暮らしすることが決まると、彼女に対して「どうすれば安くに美味しいものを自炊出来るか?」なんてことを話す機会も増えた。

貧乏料理の知恵みたいなものは幾らでもネットに落ちているのだけど、それらは「帯に短したすきに長し」で、安価であることを追求しながら美味しさを求めるものだから「多量の粉末調味料に頼るものだったり」「試してみなくても不味いことが間違いないような料理だったり」が多いように思う。

そもそも、ネットなんて言うところは「ちゃんとものを考えた人の記述」もあれば「馬鹿のようなヤツが書いたもの」も渾然一体となって落ちているのだから、まさに玉石混交なのだろう。

僕のこのブログからして、僕の主観でおもうがままにものを言っているだけなので、そもそも信頼性などない。便所の落書きが世の中にわざわざ出回っているようなものなのだ。

 

さて、話を戻すと、「主婦に人気のあるレシピサイト」なんていうのも、そもそもの主婦が本質的に美味いものを追求している訳ではなく、楽をしてそれらしく料理したように見せる料理とも呼べぬものを作るための「サボり要領の共有ページ」みたいなものだから、僕はそれらを信じない。

そんなネットで見かける記事の中で「貧乏人のパスタ」なるものが気になったので、今夜はそいつを作ってみた。

そもそも、「貧乏人は麦を食え」ではないが、貧乏人は何を食べるべきなのだろう?僕は学生時代から「金のかからない食事」の代表格はパスタだと信じている。

白米のメシを食べるとして計算してみよう。米の良し悪しはあるが、5キロの米(約33合)は1,500円くらいのだとする。特別なオカズもなしに御飯だけで満腹になろうとするならば、一食で1.5合のメシを食べるだろう(これらは僕においての試算)。ならば、一食のライス代は「1,500円÷22杯のメシ」で68円になる。

これに対してスパゲッティの乾麺で計算すると、1キロのスパゲッティを300円と設定しよう。一度に食べるスパゲッティは160グラムもあれば、だいたい1.5合のライスと匹敵するだろう。「300円÷5.5食のスパゲッティ」で一食あたりのスパゲッティ単価は55円だ。

ドカ盛りの白飯を美味しく食べようと思うと、それなりのオカズも必要になるが、大盛りの塩茹でスパゲッティを食べるにはそんなに金をかけなくてもそいつらを平らげることが出来る。オカズのない状況を想定した場合、少なくとも僕にとってはスパゲッティを食べるほうが容易なことだ。

そんな損得計算をしながら、今夜は「貧乏人のパスタ」なるものを作って食べてみた。

 

この画像はテキトーにネットで拾ったもの。特にこのレシピは参考にしていないが、基本的には大蒜を炒めたオリーブオイルにスパゲッティを落とし、卵とナチュラルチーズを絡めて味を整えて食べるスパゲッティである。

結局のところ、白飯に生玉子を落として醤油を掛けて食べる玉子かけと同じようなものだし、日本とイタリアの食生活の背景の違いとして「アーリオオーリオとチーズ」なのか「醤油」なのかという差のように感じた。

日本においてその両者を自作するならば「貧乏人のパスタ」のほうが高価になるのだろう…そんなことを考えながら食べたスパゲッティはそれなりに美味しいものだった。

しかし、本当に貧乏人のなら「チーズや玉子」は買うなよ。「真の貧乏人のパスタ」なんて呼ぶにはペペロンチーノのほうが相応しいはずだろうと強く感じる夜だった。