娘たちと眠る

昨夜は長女の送別会を行っていた。

彼女が大学に受かってからの一ヶ月間は、受検が終わったことでの解放感もあれば、新生活の支度なども含めて一緒に過ごす時間も多くなった。

その反面、末娘との勉強の時間はこの一ヶ月皆無だし、一緒に食事を摂る機会も少しだった。

そんな一月を過ごしてきたが、いよいよ今週末に長女はウチを出ていく。まあ、めちゃくちゃに遠いところに行く訳でもないのだが、フラッと一緒に会ってメシを食べよう…なんてことも、当分はなくなるのだろうから、昨夜は娘たち二人と盛大に楽しい夕餉の時を過ごした。

デザートのケーキを食べ、夜遅くまでとりとめのない話をして、娘たち二人は僕のうちに泊まっていくことにした。

中学生の末娘は未だに腹が減れば凄い勢いでメシを掻っ込み、腹が一杯になればスヤッと眠る…という幼児のような原始的な生活スタイルを続けているので、僕のうちに泊まることも多いのだが、長女がここに泊まるのは初めてになる。

ちょうど3年前、都心に住む僕のところに二人が遊びに来たが、娘二人が僕のうちに泊まるのはそれ以来のことだった。

もう何年も前のことになるが、長女が小学生、そして末娘が幼稚園とか小学校低学年の頃には二人と一緒に眠ることも多かった。

2つの布団に3人で眠るのだが、真ん中で眠る僕は布団の隙間に落ち込み寒い思いをしたものだ。これを解消するために、マットや敷布団を横向きに敷いて、布団と垂直になるように眠るようにしたものだった。当時の僕の部屋にはベッドなどなかったから、押し入れから布団を多く出してきて、それらを敷いたところに親娘で眠るのも楽しいことだった。

3年前の都心の部屋では僕はベッドで眠り、娘たちは隣の部屋に布団を敷いて眠らせたのだけど、昨夜は3人で川の字スタイルで眠ることにした。2つ分の布団に3人で寝るのは何年ぶりのことだろうか?

耳なし芳一」「そこつ相兵衛」「田の久」…これらは全て「まんが日本昔ばなし」の名作エピソードなのだが、布団の中でこれらのモノマネをしているうちに僕は眠っていた。このモノマネは長女が幼稚園に入る前から、寝る時にふとんの中でよくやっていたものだから15年以上の歴史を持つ伝統芸でなのである。全く大したことのない、僕ら親子にとってしか面白くないものなのだが。

暗くした部屋の中の布団のうえで僕たち親娘は何度お喋りをして、ふざけあって、そのうち疲れて眠る…ということを繰り返して来ただろうか。

ひたすらふざけることが多かったようにも思うが、そうした時期が戻ってこないのは淋しいことでもある。しかし、人は成長するものであり、その成長があるからこそ、こうした過去の思い出も懐かしく眩しいものになるのだ。そう思うようにしている。