引越の準備

この春から大学進学する長女は今週末に引越す。

引越先は長男と一緒に住む古いマンションなのだが、このマンションは既に先週のうちに鍵を受け取っている。

新居は現在長男が住む「昭和の佇まい全開のアパート」からは歩いて10分かからないくらいのところにあるので、既に長男は運べるものを運び込んでいる。この週末に僕たちが合流した時には「最小限の作業を残すのみ」にしておけよ…と指示したのが、既に3週間位前のこと。

この間、実際の引越作業が出来るのは鍵を受け取ってからの1週間がメインになるのだけど、とにかく長男の動きが悪かった。3月になって熱を伴う風邪をひいていたことも影響しているが、それを差し引いてもトロい作業をしていて、引越の日に長男の下宿に行くと「普段通りの生活スタイルの部屋がそこにそのままある!」という光景に出くわすのではないか?と心配したほどだ。

これは受け入れ側となる長男の話で、ならばゲスト側となる娘はどうかというと、大学合格が決まってからの1ヶ月は本当にダラダラ過ごしていたように見える。まあ、引越についてはそんなに多くの荷物がある訳では無いのだが、逆に言うとそんなに多くもない荷物なのだからとっとと支度済ませろよ!という状況だった。

 

そんな彼らに対して僕が課したのは「事前準備が充分じゃなかった場合、俺は引越を手伝わない。お前たち二人に古代エジプトスタイルで荷物を運んでもらう。俺は鞭を入れる係を担当する。」ということ。

テコの原理を使って、丸木の上を転がして運搬するクラシカルなスタイルの引越方法だ。これをやるには労働者が逃げ出したり、サボったりしないように数分に一度は鞭を入れて痛い目に合わせてやる必要がある。古の昔より和の東西を問わず、労働監督者は大切なのだ。

 

そんな愉快なことを喋っていたら、子供たちにはそんなに愉快でもなかったようで、労働効率が上昇した。

長男は働き蟻のように新旧の下宿を何往復もして、手作業で夥しい量の書籍や衣類の搬送を済ませたようだ。長女も各種荷物、向こうでもフルに使う自転車などの発送を昨日済ませた模様。

肉体への痛みはともかくとして、やはり鞭を振るう労働監督者がいると労働効率は伸びる。しかし、これは「やらされている作業」に過ぎす、そこには労働の喜びなんて言うものは存在しない。

生きていくにはこうした労働をどれだけ喜べるものに転換していけるのか?が大切だ。

…なんてことを考えていたら、朝から会社に行くのが本当にバカらしくなった。ああ、勤め先のバカ社長が早く死ねばいいのに!と本気で思う。