昨夜、と言っても数時間前のことなのだが、今年の初物となる筍と山椒を食べた。
例年のことであり、食卓の雰囲気としては特にいつもと変わらないような気もするのだが、やはり「そのシーズン初の旬の味」を食する時は少しではあるが気分も高揚する。
僕の住む町ではまだ筍は高い。ゴールデンウィークが近くなる頃、「筍の旬」と呼ばれる時期が少し過ぎた頃には筍も幾分か安くなる。大抵、そんな時期に筍を食べるのだけど、今年は少し早い時期に初物の筍を食べた。
これにはそれなりの訳があり、一昨日スーパーに行ったら見切り品の山椒が安く売られていたからだ。
山椒なんていうものは実家では庭に割と大きな木が生えていたのでいつでも手に入るものでもあったし、そもそもその香りを重宝するようなものでもなかった。
これは地域性とか僕の実家に限ったものでもなく、単にガキだった僕が山椒の香りのありがたさを分かっていなかっただけのことである。
安売りの山椒を見つけると貧乏性が存分に発揮され、その時は食べる予定などなくても「これを逃すことが大損!」とばかりに何の躊躇もなく買ってしまった。
この山椒を美味しく食べたいと思う気持ちで、そんなに安くもない筍を買うのだから、高いものを食べているのか安いものを食べているのか?そんなのよく分からない…なんて言いながら、損得勘定が得意で、いつでもセコさ全開の僕は「価格的にはこれが特にお得でもない」ことはわかっている。
しかし、「今、この初物を食べたい」という気持ちを抑えようとも思わないし、僕は全く持って江戸っ子でもないのだけど、少しくらい粋がって旬のものを盛の前に食べて見るのも美味しいものだと思った。