第1次 デニムブーム

一応、前回の記事の続きとなる。

この数年、世の中ではジーパンやらジージャンのことをデニムと呼ぶ。僕も30〜40歳くらいの間にはデニムから多少遠ざかっていたが、この数年、ジージャンを可愛がることは既報のとおり。

初めてのジージャンは中学生の時だった。母親に頼んで、当時の流行だったケミカルウォッシュのエドウィンのものを買ってもらったのが僕のジージャン1号である。同じようなケミカルウォッシュ生地のツータックのジーパンとセットにして中2くらいから高校1年くらいまでよく着ていたのだが、今のデニムに繫がるような代物ではないから、僕のデニム史の中では有史以前としておこう。

高2の頃だったと思うが、世の中(というか、僕の住む田舎町から遥か遠くのシブヤなどというオサレな街)では、501が流行っていた。リーバイス501なんて、ファッションの殿堂入りアイテムなのだから、流行りも何もないように思うが、当時の僕が愛読していたメンズ・ノンノでも非常に薦められていたから、やはり流行でもあったのだろう。

クソ田舎に住む僕も(これまた母親に頼んで)早速501を購入し、あれほど多用してきたケミカルウォッシュとは完全決別することとなった。ここを僕の中での第一次デニムブームとしよう。

初の501の他にも、田舎町のユニクロ(当時は自社ブランド品など殆どなく、アメカジの店だったのだ)で買ってきた穴だらけの古着501からパンツをチラ見せさせながら履いていたりした。この買物には母が「わざわざお金払ってボロ着を買うとは何事!」と立腹したことも思い出した。

田舎町の「ジーパンセンター(本当にそういう屋号)」でオレンジタブのベルボトムを買った時は、店員の兄ちゃんから「この町の高校生でベルボトム買ったの、あんたが一番最初よ!」なんていう褒め言葉なのか何なのかよく分からんお言葉も頂戴した。

ネットで見つけた画像だが、1992年のリーバイスブックに載っている646が「町で一番乗りのベルボトム高校生」である僕が購入したものだ。

インターネットなど存在しない時代、ファッションについての情報源はやはり雑誌が主流であり、アホのような雑誌記事であっても「出版物に載っているから」というだけで安心して信頼する僕のようなバカ高校生も多かったのではないだろうか…。

「オサレなブツもねえ」「オサレの情報もほとんどねえ」「オサレな人など見たことねえ」…なんていう吉幾三のような田舎町での僕の第一次デニムブームだったが、今になって思うとそれはそれで牧歌的で面白いことだったように感じる。