一週間前のことだが、僕は仲の良い後輩と竹林にいた。
去年初めて取り組んだ「シナチク作り」であるが、多少の失敗はあったものの基本的なコツを掴むことが出来たので今年はスパッと正解のものを作ろう…という次第。
隣町のさらに郊外にある後輩氏の実家の竹林で「伸び過ぎた筍」を採取するのだが、今年はなかなか見付からなかった。取りそこねた筍とか時期外れに生えてきたやつなどが、竹の成長目線で言うならば運良く竹になるために背を伸ばし始めたところのものを僕たちはとっていく。
去年の全く同じ時期に全く同じ場所を訪れた際には、特に探すこともなくそこらに伸びて生えている竹の若いやつをキック一発でへし折り、それからを簡単に拾って沢山のシナチク原材料を手に入れた。
今年も同じ様な要領を想定していたらまず若い竹が見付からない。後輩氏との仮説では、今年の春は山に作物があまりなく、食物が少なくなって腹を減らせた猪どもがムキになって筍を食べまくったのではないか?…と。まあ、放置竹林に見る竹の繁殖による被害などを考えると、竹が過剰に伸びていないというのも悪いことではないのだろうが、シナチク原材料を探しに来た僕たちとしては少しばかり困った。
僕たち二人は竹林を右往左往しながら、なんとかそれぞれが軽く仕込めるだけの若い竹を手に入れた。
去年は後輩氏の実家の業務用の厨房を借りて、大掛かりに竹のアク抜きとかの作業をさせて貰ったのだが、今年の量は本当に僅かである。それぞれを分配した二人は竹を手に帰宅した。
そこからの作業の様子の写真を掲示しておく。
僕のうちにには煮ることによりある程度のアク抜きをなされた竹が、第2工程として塩漬けされ、そして第3工程となる半年近くの乳酸発酵&熟成期間を迎えている。
梅雨を過ぎて夏が終わり、秋らしくなり始める頃に樽から上げて乾燥させる。そしてシナチクとして賞味するのは冬になってからのことなのだろう。
長い時間を要すホビーであるが、その間、特に大きな手間はない。「手間はない」なんてレベルでもなく、ほとんど何もしない。僕は漬物を漬けるが「青柴漬を美味しく食べるまでに1ヶ月」とか「半年前に漬け込んだ梅干をようやく食べる」みたいなことを言うと、それを聞く人から「めちゃめちゃマメですね」なんて言われることが多い。過程を知らない人は僕が半年の間、毎日のように梅干を世話しているものだと思っているのだろう。
きっかけと基礎、そして続けるコツを体得してしまえば、本当になんということもなく楽しめる物事は多い。