datetaira’s blog

日々の生活で思うこと

恩師と飲む

数日前、お彼岸の中日のことだ。この日の僕は午前中から職場にいてデスクワークを進めていた。

集中力を持って作業に当たれば割と効率良く素早い作業が出来る太刀だと思っているのだけど、僕のエンジンはなかなかかからない。人から話しかけられたり他のメールなど来ようものなら、とにかくそのことが気に懸かってしまい作業スピードは極端に落ちる。

そんな訳で、集中してデスクワークに取り組みたい時には僕は迷わず休日出勤を選ぶ。トータルでの作業時間は何倍も少なく、そして質の良い作業を遂行することが出来るから。

この日も快調に仕事を進めていたら、デスクの外線電話がなった。「祝日に珍しいことだな…」なんて思って電話に出てみると、恩師から僕宛の電話だった。

学生時代に僕はほぼ一生懸命に教えを乞い、それを学ぶなんてことをしなかったから「学生時代における恩師」なんて方はほとんどいない。強いて言うなら「思い出深い担任の先生とか部活の顧問の先生」が恩師という存在にあたるのだろう。

大学時代においては教授の顔も名前もほとんど覚えていないし、覚えるも何もそもそもまともに授業にも出ていないので、忘れるどころか最初から先生というか教授のことを知らない有様だ。

 

なので前述の「恩師」とは数年前までの上司のことであり、今は会社を去り別のところで働く70歳の先輩のことを指す。

そんな恩師からの電話は「おう、今日も会社にいたか!今夜、飲もうぜ!」とのものだった。

この日の僕は私用携帯も会社携帯も自宅に置き忘れていたのだけど、祝日だから社用電話が来ることも無かろう…とそのまんまデスクワークに精を出していたのだった。

実に「大学の下宿友達を誘うような口調」で情緒も何もなくいきなりの飲みに誘ってくれた恩師との夜は楽しかった。沼津で気に入った酒場を見付けていない僕は自宅に恩師を招き、湯豆腐やら唐揚げやら手早く調理して「宅飲み」を楽しんだのだが、やはりこれは安くてイイ。そもそも我が家の食卓には僕の口に合う食物しか出てこない。調理や片付けという家事作業を特に苦と思わない僕にとっては「ウチで飲む」ことと外食は比較するまでもない程、好都合なことなのだ。勿論、これは「気の置けない仲間」と僕が認識する人との食事に限るのだけど…。

その2日後のこと。僕は味噌汁をすすりながら酒を飲んでいた。味噌汁をつまみにする…ということを特に好きな訳では無いが、恩師との食事の際に作った「鱈の湯豆腐」が余っていたので、それを味噌汁をにしたものだ。

鱈の湯豆腐というものは寒い日の献立としては格別なものだと思っているが、そのオツユに特に旨味はない。そもそも鱈の旨味なんてものは本当に薄く全くと言っていいほど出汁など出ない。

鱈の湯豆腐の残りに合わせ味噌と白味噌を溶き、葱と玉子を落としてグラッと沸かした味噌汁。子供の頃は味噌汁の玉子が好きではなかった。半熟なら黄身がオツユに流れ出ていくのが勿体ないと思っていたし、黄身が固くなるまで似たものはボソボソとして美味しいとは思わなかった。

しかし、この夜は数日前の恩師との楽しかった宴席を思い出しながら玉子の入った味噌汁も悪くない…と思いながら、そいつをすすり酒を飲んだ。