datetaira’s blog

日々の生活で思うこと

夏休みの終わりに

僕の(仕事における)夏季休暇は先週で既に終わっている。そして今週の頭から仕事に復帰して「日常生活」を再開しているのだけど、やはりお盆の期間は仕事の忙しさも和らぐ。

日常生活とは真逆になるような「夏旅」を存分楽しみ、僕の休暇など関係なくやってくる仕事のメールやら携帯電話での連絡をこなしつつの休暇であったが、ムキになって遊んでいたこともあるので、やはり日常生活への復帰は容易ではない。

そんな時に「世の中一般のお盆休み」の時期に仕事に復帰するのは、過酷な高地トレーニングに出る前に多少空気の薄いところで身体を慣らすような塩梅で、僕にとってはとても助かる日程だ。これが分かっているから、この数年、8月の上旬に夏季休暇を取るようにしている程だ…。

一週間(…と言っても祝日があったので4日間)の勤務を終え、日常生活における休日の今日は朝はゆっくりと眠って余り物での昼食を食べ、昼からは近所の河川敷に出掛けた。本当に日常生活らしい休日の過ごし方だ。鈍行列車に乗り込んで朝から酒を飲んでみたり、海や川に遊びに行くことや懐かしい店に出掛けることもない「本当に普通の休日」だ。

昨日、静岡県東部を少しだけかすめた台風の影響なのだろうか?川の水は少しだけ増えていて、これまでよりも水量の増した川にはボラと思しき30センチくらいの魚が群れをなして泳いでいた。

日光浴でもしたいのかと思うほど、銀色の魚体を午後の陽に反射させながら泳ぐボラを見ながら、持ってきた段ボールシートを広げてそこに寝そべりながら本を読む。

子供の頃に川のすぐそばに住んでいて、川に行ってはハヤや鮒などの小魚を捕まえて遊び、たまには捕獲したそいつらを自宅に持ち帰って金魚を飼っていた水槽で共生させていたこともあるからだろう。僕は川に泳ぐ魚を見ると懐かしさとともになんだか落ち着くように思う。勿論、ボラのような大型の魚を「僕が出掛ける川」で目にすることはなかったのだけど…。

今日は川辺で「星の王子様」を読んだ。何度も読んだことのある名作だが、この作品に至っては「作品における意味合いやら意味づけ」をするのがなんだか嫌なので、昔からツラっとしか読んでいない。

サン=テグジュペリが何を意図して書いたのか?なんてことを知ろうとすることは、無邪気というのか純粋無垢に思われる王子様の世界に、汚れた僕が土足で踏み込むような気がするからだ。そんな訳で、今だにこの作品の魅力がどこにあるのかしっかりと分かっていないのだけど、とても好きな作品だ。

炎天下の川辺で海パン一丁になって「星の王子様」を読む壮年男性。傍から見れば変質者のような光景だが、久しぶりにこの作品をちゃんと読んだ僕は時には心を痛め、涙を流すほど心を揺さぶられていた。…いよいよモノホンの変質者のように見える行為であるのだけど…。

夏の旅には数冊の文庫を携えて行ったが、この本を持って行ってどこかで読んでおくべきだった。アホのように遊んではいたが「大人っぽい効率的なものの考え方」をすっかりと優先するようになった僕には、この本から伝えられることが後ろめたく思うことばかりだった。

「世間の盆休み」に乗じて、とても長く取得した夏休み(気分)もいよいよ終わる。そんな休日の終盤に星の王子様を読んだことは印象深いことだった。なんだか夏休みの課題図書をちゃんと読んだような充実感。いや、「課題図書」なんてたとえもこの本には失礼なように思う…。しかし、長い休暇を締めくくるには本当にイイ時間だった。