新発売されるお菓子やら、レストランの秋の新メニューみたいなものは特に興味がない。この時期になると「月見◯◯」みたいなのがファストフード店で宣伝されているが、アレにも興味が湧かない。
中秋の名月を楽しむのは風流なことだと思うが、目玉焼きを食べることは特に季節とは関係ないことだ。季節感というものは自然によるものだけでなく人による世相も大いに関係するものであることは理解できるのだが、四季を問わずいつでも食べられる目玉焼きを加えただけのハンバーガーをさも、ありがたいもののように売り付けるファストフード店の「季節行事利用」には閉口する…。
…なんてことを偉そうに言いながら、今日、僕は「月見バーガー」を食べることにした。「月見◯◯はクソのようなものだ…」ということを書いていたのは今朝のこと。今、こうしてその続きを書いているのは14時過ぎのことだ。「舌の根も乾かぬうちに…、この野郎は…」と呆れる人もいるだろうが、僕もそう思う。
まあ、人にはそれなりの靭やかさも必要なのだ…。尤も、中秋の名月が近いからという理由で月見バーガーを食べる訳では無い。だから、厳密に言うなら「ハンバーガーに玉子を加えたもの」を食べるだけなのだけど…。
昨日、買物に行ったときに合挽肉が半額で売られていたので買ってきていた。連休で時間もあることだしコロッケでも作るか、もしかしたら娘が遊びに来るかも知れん…なんてことを考えて買ったものだが、今日になるとコロッケを作るのがすっかりと面倒になってしまった。
まあ、挽肉なんてものは何か使い道もあるだろう…と思っていたのだが、特に食べたいものは思い浮かばなかった。
餃子?いやいや、あれは豚肉だ。なんなら挽肉ではなくて薄切り肉を叩いた方が美味しい…。麻婆豆腐か!いやいや、あれは美味いけど、今は特に食べたくもない…。ならばスパゲッティのソース?いや、これはもっと求めていない…。そんなことを思っていると、僕の食欲の導線上には全く挽肉の使い道がないことに気が付いた。
しかし、そもそも半額で買ってきた挽肉なので早めに食べなくてはすぐに傷んでしまう。これは僕の感じ方だけなのかも知れないが、薄切り肉と比べると挽肉は早く傷むように思っている。そして、早くに劣化した肉はすぐに嫌な匂いを発する。だからこそ、挽肉を使った料理はハンバーグにおけるナツメグやら麻婆豆腐における山椒やら「肉の臭みを消すための香辛料」が必要なのだ…と僕は数十年前から信じている。
そんな訳で今日は昼間から挽肉に香りの強い香辛料を混ぜて捏ね、ハンバーグを作っている。ハンバーグという料理を嫌いではないが、滅多に作ることはない。5年に一度あるかないか?という僕の食卓においては珍しい食物だ。
朝から職場に出掛けて「週明けからの仕事が楽になるように」デスクワークの幾つかをこなして帰ってきた後で、休日昼の日中からウイスキーを飲みながらハンバーグを作るということも割と楽しいのではないか!そんなことを思いながら、帰宅途中に「そうだ、月見バーガーを作ればいいじゃん!」と思いつき、滅多に買わないパンを買う。
パンという食品は普段ウチにないのだが、ハンバーガーに必須のピクルスもないので、少しイッちゃった糠床の胡瓜で代用する。
純和風の古漬け胡瓜もディルを振りかければだいたいピクルスのようなものになるだろう。
無理矢理寄せ集めたような具材であるが、玉子はマクドナルドのカチカチに蒸した目玉焼きスタイルに敬意を払いレンジで60秒ほど温めた「レンチン玉子」だ。マクドナルドと同じ味がする(はずだ)!
写真中ほどに見える赤いものはキムチである…というのは嘘で、これは数日前に特に食べる予定もないのに作っていたトマトソースである。僕のウチにはケチャップというものはない。数年に一度くらい買うこともあるが、基本的にケチャップは食べない。しかし、ハンバーガーにおいてケチャップも必須の調味料のように思うので買おうかどうか迷ったが、冷蔵庫にトマトソースがあったことを思い出したので買わずに帰宅した。
こうして支度した具材をハンバーグを焼いたフライパンでトーストしたパンに挟んで食べるだけ。
うむ、美味い!…けど、特に感動するほどのものでもない。そりゃそうだ。味付けや調理方法に問題もないが、特に旬の食材を使ったわけでもないインスタント食品みたいなものだ。僕は特にこの手の食品を好まないのだった。
玉子はちゃんと目玉焼きにしたら美味しかったかも知れん。マクドナルドの完コピ指数にとらわれて大して美味くない料理にしてしまったことは全ての食材に申し訳ないと思う…。