datetaira’s blog

日々の生活で思うこと

ハムを食べる

一月くらい前に作っていた肉の燻製を食べた。

昨夜食べたのは豚のもも肉で作ったものだから「ハム」である。いや、ハムなのだろうね…、ハムの定義を知らないのだけど、僕は「これこそがハムである」と決めた。

パルメザンチーズを砕いたものと一緒に出来るだけ薄切りにしたハムを皿に乗せた。そして、これらはウイスキーによく調和した。

燻してから一ヶ月寝かせたものになるが、乾燥を防ぐためにラッパで包みあげて冷蔵庫に放っておいたものなので、まだ煙の匂いが強い。

なるべく薄く切ったものをそのまま食べると「豚の旨味と塩味と燻製の香り」がブレンドされた「当たり前の味」がした。熟成による旨味もあるが、肉にしても魚にしても然るべき方法で保存すれば、それなりに熟成されて旨味が増してくるものだ。

保存性を高めるためにある程度の濃度の塩に漬けているのだから少しはしょっぱい。そして煙で燻しているのだから煙臭い。香りをまとったハムをその切れ端から噛み締めていくとしょっぱさの後から旨味が出てくる。本当に当たり前のことだ。

肉を噛み締め、ウイスキーを飲み、莨をやりながら思ったのだが、このハムを美味いと感じられない子供…いや、大人も多いのかも知れない。

ハムなんて食物はそこらのコンビニでも薄切りにされてパックに詰めたものが売られているし、保存の利便性からそれを買ってきて食べている人も多いのだろうと思う。

外で買ってきたハムは驚くほど旨い。「美味い」ではなく「旨い」のだ。本来、肉が持っていないような旨さに溢れている。その旨さは本来の肉にはないくらい!

そんな市販の加工肉が持っている工業製品のような旨味は僕のハムにはない。自分では切れないくらいに見事に薄切りされたやつに、胡瓜やらかいわれ大根をくるっと巻いて一緒に食べると見栄えのする程のみずみずしさもない。

…そりゃそうだ。豚肉と塩だけで作られたものであり、アミノ酸調味料とか保存料などの各種化学物質を加えていないものなのだから…。更に言えば、おっさんのウチのベランダで作られた趣味の品なのだから。

少しばかりゴワゴワしたところもあるハムを噛み締めながら「この当たり前の味しかしないやつをガキやら舎弟にも食べさせたい」と思った。別にガキと舎弟じゃなくても仲良くしている人たちに食べさせたいと思った。僕は根っからの「お歳暮にはハムを届ける『ハムの人』©別所哲也」なのだろうね…。

…って言いながら、少し前には「科学の力(敢えて化学とは言わない…)による嘘もん食品」を喜んで食べているような有様なので、コンビニで売られている「薄切りパック詰めのやつ」を礼賛する日も意外に早くに来るのかも知れないけど…。