まもなく冬になるな…なんてことを考えながら、なんだか外での会食の多い日々を過ごしていたら、11月も本当に終盤になっていた。
この11月は酒を飲みすぎており、なんだか体調が良くないな…と「生活リズムにおけるボタンの掛け違い」みたいなことを後ろめたく思っているのだけど、立ち止まってボタンを掛け直すこともないままに11月が終わろうとしている。
酒を飲んだ翌日は、大抵前夜にそんなにも食べずに過ごしているので「宿酔い気味なのに食欲は旺盛…」という身体には実によくない状況が続いていた。旺盛な食欲に任せてしまうことがよくないのだけど…。
飲んだ翌日におかゆなどの禅寺の修行僧のメシみたいなものしか食べないようにしていれば、わざわざ立ち止まったりしなくても「ボタンの掛け違い」はどうにかすることが出来たのだろう。それが出来ないから体調も万全ではないし太るのだ…。これもひとえに僕の意志の弱さのによるものなのだけど…。
「そんな殊勝な反省めいたこと」を書きながら、今の僕の目の前にはウイスキーのお湯割りがある。「1週間を頑張ってやりきったのだから、ご褒美に酒を飲もう!」という気持ちは抑えられなかった。
さて、ウイスキーの傍らにあるオカズが何であるか?それが分かった方は全国的に見れば凄くマニアックな方だ。「山口県ふるさと大使」に推薦してもいいかと思う。勿論、僕はそんな役職への推薦資格など持っていないし、そんなものに推薦されても嬉しく思う方などほとんどいないのだろうけど…。
水分がよく抜けるまで油で炒めた木綿豆腐と大根と人参を一緒に煮込んだこの料理は「けんちょう」という。僕が18歳まで過ごした山口県の郷土料理だ。
毎年のように作る料理だが、これを食べると秋が終盤に差し掛かり冬がやってくることを感じる。
そう言えば、今朝から出勤の時にペラいものではあるが膝丈のコートを着るようになった。そして今夜はウイスキーをお湯割りにしたのだった。明日からの土日には更に冷え込み、来週は冬らしい寒さになる…ということを天気予報で言っていた。だらけた生活を送っているうちに、秋もいよいよ去ってしまったようだ。
さて、僕の心の料理「けんちょう」は今夜作ったものではない。今週の序盤から木綿豆腐の水切りに入り、翌日には水分を抜いたやつを炒めておいて、そしてその翌日には大根と人参を刻んで出汁を加えて炊いたり…と数日かけて作ったものである。
「けんちょう」なんてものは別に数日かけて作る程の手間が掛かるものではなく「山口のそこらのお母ちゃんたち」は味噌汁でも作るかのように簡単に作る「家庭的な庶民惣菜」である。数日かけて僕が作ったものは「僕が酔っ払っている時に作業を数日に分けて作った」だけのものだ。
今シーズン初となる「けんちょう」は塩辛かった。酔っぱらいの味覚がおかしい状態での味見だったのか?それともそもそも味見などせずに多量の塩を加えてしまったのか?そんなことすらよく分からないけど、気が付けば「大鍋いっぱいのけんちょう」が出来上がっていた週末…という体たらく…。
こいつの塩っぱさには閉口するのだけど、やはり懐かしさを感じる郷土料理というのはいいものだと思いながら、お湯割りを飲む夜。