「初春」と言っても正月のことではない。正月は「ハツハル」であり、今日の初春は「ショシュン」と読んで、2月から3月の上旬のことだと捉えて欲しい。
さて、3月も中旬になり、随分と暖かな日も増えてきた。まだ僕は上っ張りにダッフルコートを着ているが、これもそろそろ「季節感に合わない変に見えるもの」になるのだろう。そろそろスプリングコートの出番だ。
2月の上旬に暦のうえでの春を迎えてから随分と寒い日が続いた。先週末もイベントの仕事で一日外にいたが寒さが身にこたえた。僕の寒さへの耐久性は年々脆弱になってきていて、この冬はダッフルコートばかり着て過ごしていた。
そして、食卓においては「例年、冬になると芹を食べる頻度が増える」のだけど、今年は僅かしか芹を食べないうちに春も盛りを迎えようとしている。「春の盛り」というのは桜が開花する10日くらい前から桜が散るまでのこと、正式な定義などないかも知れないが、僕はそう捉えている。そして桜が散ると「名残りの春」で、あっという間に初夏になる。
今年、芹をあまり食べなかったのは、そこらで売られている芹があまり良質ではないくせに高価だったからだ。沼津に来てから「季節感に溢れた美味しそうな食材」を入手するのが難しくなった。
どうでもいいような全国的にどこのスーパーにも売られているようなどうでもいい野菜ばかりが売られている。これにより僕の食卓は季節感という点においては随分と貧相なものになった。なのに、食費が安くなったかと言えばそんなこともなく、これまでと同じように金がかかっているのに季節感だけが損なわれているような有様だ。まあ、これにはあらゆるものの物価が上がっていることも理由になるのだけど…。
さて、今夜は「菜の花汁」を食べている。去年も同じような時期に同じようなものを食べていた記憶がある。
※気になって調べてみたら、去年は2月の上旬に「菜の花汁」のことをこちらに記していた。
菜花の茹で汁には驚くほどの「出汁のような旨味」が出る。これを捨てるのはあまりに勿体ないから、僕は茹で汁で辛子和えを作るし、その茹で汁を捨てることなく汁物にして食べている。今夜も食べた「菜の花汁」は菜花の茹で汁に豚コマと大根、そして酒粕と味噌を溶いた豚汁だ。
今年は芹を食べずに菜花を食べる頻度があがった。それなりに美味くて安いから…。
今年…というかこのところの僕の食卓が貧相になったことは間違いない。そして「菜の花汁」なんて季節感に溢れたようだけど、結局安くに買ってきただけの菜花を豚汁にして食べているだけの貧相料理である。
しかし、こうした汁物を啜り、ウイスキーを飲み莨を味わう食卓というのは「昨日、ゴルフ場で食べたカツカレー」の数分の一という安さだけど、なんだか気持ちをよくしてくれるイイ食物だ。
あらゆるものの価格が上昇していて、僕もそれには辟易として文句ばかり言っているが、豊かな食卓にはそれなりに金をかけることも必要なのだと思う。しかし、「大口を開けて食べられる安価な旬の食材」をしっかり使う生活を大切にしていきたい。