datetaira’s blog

日々の生活で思うこと

素晴らしい音楽会

昨日の朝、沼津を発ち今は山口に来ている。このブログも二泊目となる山口のホテルで酒を飲みながら書いている。

昨日は出身高校のブラバンのOB会があり、世代の異なる老若男女が集まっての会食に参加していた。実にイイ会だったのでここでのことはまた別稿に記したい。

懐かしい仲間と会って強かに飲んだ翌日の今日は昼から演奏会を鑑賞した。僕の出身高校のブラバンは「管弦楽部」という名前で、その昔は本当に管弦楽をやっていたのだが、僕が高校に在籍している頃(1990年前後)は完全にブラバン(吹奏楽部)としてしか活動していなかった。

どういうことで状況が変化したのかよく知らないが、10年ちょっと前からはバイオリンやチェロなどの弦楽器を演奏するメンバーも増えてきて、今では名前のとおり「管弦楽」を中心にやっている。そんな楽団の演奏会を今日は楽しんできた。

そもそも、僕の田舎(出身地という意)の山口市は文字通りのド田舎村だから人も沢山いないのだけど、今日の昼の演奏会には村人たちのほとんどが集まったのではないか?と思うほどの行列が出来ていた。

多くの人が集まった演奏会は昼の部と夜の部があり、それらはマチネとかソワレと称するそうだが、クラシック音楽に疎い僕には「なにそれ?」って感じ…。

OB会での酒宴への参加を主たる目的としてド田舎村に帰ってきたのだけど、折角なのだから昼の部も夜の部も観てきた。

管弦楽部だけではなく合唱部も参加して、器楽から歌声から総合的な演者が集まって作り上げられたステージは本当に素晴らしかった。

僕もすっかりとおっさんになったからなのだろうけど、直向きにステージ作りに励む高校生の演奏を観て涙が止まらなかった。昼の部は合唱や吹奏楽管弦楽がそれぞれに演奏する部分もあったし、終盤にはプロのボーカルソリスト(?声楽家?)を招いてのベートーヴェン交響曲も披露された。

合唱の歌声を聴き、必死に歌う高校生たちの姿を見て涙を流し、弦楽器や管楽器を演奏する若者の姿を見ては涙する…。昼の部も素晴らしい演奏だったが、その2時間くらいあとに開かれた夜の部の素晴らしいものだった。

高校生たちによるミュージカルのステージがメインだったのだが、舞台演出や演者の演技や演奏、そしてそのステージを作り上げるために費やした努力やらその時間のことを想像するとたまらない気持ちになり、終演後は鼻が痛くなるほどに涙を流し続ける演奏会だった。

満員の客席のひとつに革ジャンを着て座り、鼻を啜りながら涙を流す50男は相当に不審に見えただろう。まあ、色眼鏡をかけていたから感極まり続けていた僕の様子は周囲には気付かれていないと思うのだけど…。

ライブで凄い演奏に触れると「いきなりザワッと鳥肌が立つこと」がたまにある。僕は滅多にライブに行かないのだから「たまにしかない」のだけど、今日の演奏会はそうした「反射的に鳥肌が立つ」ものではなかった。演奏そのものよりも演者の姿勢にグッときたのかも知れない。

改めて思うと「僕も列記としたジジイになった」のだ。若さに感動するなんて、それが僕に失われているものだから「美しさと羨ましさ」を感じるだけなのだろう…。しかたない、僕も先日51歳になったのだし…。

しかし、本当にイイ演奏会だった。僕にとっては鳥肌よりも涙腺に何かを打ち込まれたような演奏だった。ジジイやババアは涙腺が弱いものだ。

僕がブラバンに熱中していた高校時代からは既に30数年が経ってしまっているのだけど、こうした「ステージを作り上げるために必死に努力した経験」は学生たちにとって「未来の糧」になるに違いない。

そして、僕自身も彼らの姿に涙を流しているだけではなく「今の僕でも出来る必死な努力」をするべきなのだ…と「日々の生活への勇気」のようなものを我が子のような歳の少年少女から学ばせて貰う帰郷だった。