datetaira’s blog

日々の生活で思うこと

山椒への来客

今日は朝から雨だ。

天気予報で分かっていたことなのに、朝になって目が覚めて雨が降っていくことを確認すると残念な気持ちになる。心のどこかで天気予報が外れてくれることを期待しているからなのだろう。

雨が降って気温が高くなってくるとベランダ菜園の植物たちも元気に伸びてくる。驚くほどの成長の早さを見せるのは紫蘇なのだが、鉢の山椒もこの春、大きく枝を伸ばした。

この春、筍を食べる時にこの葉を用いたが、その後は特に使うこともなく柔らかな薄緑色だった葉っぱも濃い緑の硬いものが増えてきた。折角沢山茂っている葉っぱなのだから、なにかに使えまいか?…山椒味噌とかいいかもな。

そんなことを考えながら山椒の葉を眺めていたら「久しぶりにアイツ」がいることに気がついた。昨日の朝のことだ。

まだ黒いアゲハ蝶の幼虫。これまで姿を見なかったので、この春は奴らの襲来を乗り越えたのかな…と思っていたが、そうではなかった。

大食漢のアゲハ蝶の幼虫に襲われたら、あっという間に山椒の葉など食い尽くされてしまうはずだが、今年は葉っぱを食い荒らされた様子のなかったので油断していた。

色の黒い幼虫は所々に白いところもある。これは「緑の葉っぱの上に投下された鳥の糞」の擬態をしているものだ。僕は幼い頃から、この手のイモムシがよくいる環境にいたので、特に疑問を抱くこともなく「黒い幼虫」も受け入れていたのだが、これが擬態であることを知ると感心する。

そりゃそんな鳥の糞にも見えるよなあ…と彼らが生き延びるための本能に感心はするのだが、鳥でもない僕を欺くことはできない。僕は「擬態をした幼虫」にしか見えないから…。

そんな訳で台所から持ってきた割箸で幼虫たちを摘まみ取り、ベランダから外へ投げ捨てた。箸で摘まむとオレンジ色の角を出す。これは幼虫たちが母親である蝶から「お前たち、どうしようもない危険が訪れたら必死になって角を出しなさい。助かることもあるだろうから…」と教え込んでくれたことのようにも見える。

そんな訳もなく、これも単なる本能による動きなのだが、知恵のついたおっさんである僕がそんな脅しなどに怯むわけもなく、幼虫たちは次々に摘まみ取られていき我が家から去った。全部で13匹をベランダからぶん投げたが、無抵抗なやつなどいず13匹全てが角出しによる抵抗を試みたことに驚いた。

「親や親族である蝶」には「おたくのお子さんたちは貴方がたの教えをしっかりと守って角を出していました。立派な若者でした。そしてそんな命が失われたことは残念ではありますが、当家にも当家の都合がありますので、もうやってこないでください。互いに悲しい思いをするのを避けましょう。」と伝えたいが、伝わらない。