昼食にラーメンを食べた。この店のラーメンを好きなので度々食べたいと思うのだが、店の前を通る時に目をやると5台くらい停められる駐車場はいつもいっぱいなのだ。
だが、この日は1台だけ停められる状態だったので入店してラーメンをいただいた。
僕の座ったカウンターの席には一席空いた隣に作業着の兄ちゃんがいたが、彼へのラーメンは僕と同じタイミングで出された。やって来たラーメンはいつも通りの美味さで、おつゆを飲み麺を啜ってその味を楽しんだのだが、隣席から聞こえてくる異様な音が気になった。
作業着の兄ちゃんの麺を啜り込む音があまりにデカいのだ。ラーメンにしても蕎麦にしても箸で持ち上げてモソモソも食べていてはその美味しさを感じ取れない…どころか不味くなるものなのだから、麺を啜ることは否定しない。しかし、敢えて大きな音を出せるように工夫して、日々「大きな啜り音の為に研鑽を続けた」のではないか?と思うほどの音だった。
ズバズバ…ズーッ、ズーッ…。気になると、もうラーメンの美味さなど分かるわけもなく、なぜこいつはこんなに大きな音を出しているのだろう?回りに聞かせる為かな?みたいなことばかりを考えながら僕は自分のラーメンを啜った。
いつもと変わらず美味しいラーメンだったはずだが、この日は普段の3割くらいしか美味しさを感じ取れなかったように思う。
僕が席を立ち勘定を済ませて外に出る時、爆音の兄ちゃんはまだ食べていた。チャーハンとラーメンのセットを頼んでいるので僕よりも量が多いのだ。その彼は大方の麺を食べ終え、丼のスープを楽しんでいるところだった。
レンゲでスープをすくい上げ、レンゲの側面からズズズーーーッと更に大きな音を立ててスープを吸い込んでいた。レンゲはその先端からスープを口に流し込むものだろうが!僕はとても汚いものを見た気がした。「気がした」ではなく実際に汚いものだった。
不快な気持ちにもなったが、「こいつは親にものの食べ方を躾けられなかったのだな…。いや、別に躾などなくても、自分自身でものの食べ方について考えることもないのだろう。エレガントじゃなくてもいいが、人から「汚いもの扱い」されるような食べ方をしていることにすら気付いていないのだ…。」ととても不憫な気持ちになった。
我が子たちには「人を不快にさせる汚い食べ方だけはするなよ」とちゃんと躾してやりたいと思った。ガキどもはもうそんな歳ではないのだけど…。