datetaira’s blog

日々の生活で思うこと

名もなき献立

同じようなタイトルで同じようなことを過去にこのブログに記したような気もするが、きっと今年も同じようなことを書いているのかも知れない。

日々、新鮮な体験にぶち当たり、そこでの感想などを書き連ねるブログだと面白いのだろうが、おっさんの日常というのは特に新しいことにはそんなに出くわさないものだ。

昨夜は、帰宅途中に寄ったスーパーで比較的安価で良質な茄子を見つけたので、そいつを料理して食べた。

千切りにした新生姜を油で炒めて、その油を吸い込ませるように茄子を軽く炒めて、インゲンと豚肉を加えて煮たもの。出汁はしばらく前に作っていた麺つゆを用いた。あと、味付けには日本酒を加えた。

昔は市販の麺つゆを使っていたが「不思議なくらいに旨味の出る市販麺つゆ」はやはり怪しい成分に満ちているのだろうと思うから、久しく使っていない。

雑節と昆布で取った出汁に日本酒と醤油と塩を加えて作る麺つゆは、市販品の過剰な旨味に慣れた方には物足りなく思うのかも知れないが、その物足りなさの奥にある旨味を感じ取ることが美味しさの本質であるように思ったりする。

この料理は、夏になって茄子が安く出回り始めると毎年のようによく作る献立だが、「茄子と生姜と豚肉とインゲンを炊いたやつ」というあまりにもそのまんまな料理名でしか僕は認識していない。京料理には「◯◯を□□で炊いたん」なんていうものもあるが、京料理を気取るには僕の料理はあまりにも東男的だし、土方のおっさん寄りなものなので、そんな風に称する資格はないものだと思う。

脂が比較的少ない豚のもも肉を噛み締める時の美味さ、そして出汁がしゅんだ茄子の味わい。アクセントとなる千切り生姜とインゲンの青臭さ。本当に何ということもない田舎料理なのだが、夏を感じることの出来るオカズで、僕の好きなこの時期の料理だ。

今朝はレンジで温めた麦シャリを軽く茶碗によそい、そこにこいつをおつゆ多めにかけてザブザブと食べてから出勤した。

そして、帰宅してからは冷蔵庫で冷やしていたやつを再び鍋に移して温めて、酒の肴として食べている。

茄子は煮崩れてくるし、煮返すことにより最初は澄んでいたおつゆにも雑味が出てくるように思うが、そうした劣化を含めて僕の好きな献立なのである。もう何年も夏になると食べているものだが、名前はまだない。