今夜はおそらく今シーズンで一番寒い夜だ。
もちろん、もっと寒い夜はこれから来るだろうから、今の時点での最高に寒い夜との話。
熱い風呂からあがり、冷たいやつでしばらくやってから寒くなってきたので常夜鍋を食べて、冬の法蓮草に舌鼓をうち、そろそろいこうか…という感じで酒を飲もうと思った。ここでの酒はアルコール飲料全般のことでなく、日本酒のこと。
貰い物の酒だが、どんな酒なのか知らない。
ネットで検索すれば誰かの書いた「その酒の評判」も分かるのだろうけど、そんなことはしない。自分でどう思うのかが一番だ。飲んでみりゃいいだけだ。
「原田」
子供の頃の友達には原田くんもいたな。
大人になってからの付き合いの範囲には原田さんはあまりいない。「原田」といえば芳雄も好きだし、大二郎も好きだ。知世も悪くないけど、特に好きではない。
随分と勝手な「原田」イメージで、この酒も芳雄風に相当に男らしい酒だと想像。燗をつける支度も出来た。その前に、冷やで少し飲んでみよう。
…うん、相当に華美な酒だ。
華やかな酒。
水のようにするっと入る味のないやつではない。
…燗をつけるのはやめた。
どんな酒をどう燗をつけるとうまくなるのかも勉強しておく必要もあるなと思いながら、勝手な直感でこれは燗をつけずにそのまま飲む酒だと判断。
冬の夜らしく熱い酒をちびり…
そんな風にはやらないけど、寒い夜が引き合わせた原田との一夜。
しかし、甘くて好かん酒だな。
