経年変化と経年劣化

ジージャンのエイジングのためにガキガキに糊付けするようになって何年か経つが、これは今でもちゃんと続けている。

糊付けの利点は「とにかくカッコよくジージャンが育つこと」だ。お洒落のために着る服なのでお洒落であることが唯一最大の存在価値だ。

ジーンズ…というかデニム生地は着込んでいっての経年変化が本当に楽しい服飾だ。勿論それにはそもそもの生地の良し悪しもあるが、どこまでケア出来るか?でその成長は大きく左右される。

僕は糊付けする時に原液の洗濯糊をジージャンに塗り込む。原液とは言え一度塗り込んで乾かしたくらいでは硬さが足りない。2回くらい塗るとようやく「バキバキのイイ硬さ」になってくる。

こうなるとジージャンは自立する。

これを着込んで寝るのだが、以前は肩が凝って仕方なかったのに最近では特に苦痛を感じなくなった。むしろ丈夫なよろいに守られているような気になる程で、変な安心感みたいなものすら抱く状態だ。これがいいことなのか?悪いことなのか?は判断力しかねるのだけど…。

こうして着込んでいくジージャンも随分と味が出てきた。エイジングというものが経年劣化のことを指し、その劣化の具合が「人によってはカッコよく見える」というだけのことだから、味が出てくるのと同時に傷みも出てくる。既に袖の内側が擦り切れ始めているし、ステッチの糸が切れた箇所も散見される。

細心の注意を払いながらも「道具なので使ってなんぼ」とばかりに、ラフに着こなす。こうしたスタイルによって積み上げられるカッコよさこそ本物なのだろうと思う。