スパゲッティのこと①

今日はスパゲッティのことを書く。
正月とか冬には何も関係ない。

年末、クリスマスの前くらいから、食料品を買い足していない。間にインフルエンザでのダウン期間があるとは言え、以外にいろいろイケるものだ。
…と言うより、それだけ普段は必要としていないものをいろいろと買い貯めていて、普段からそれらを使っていない自分の備蓄ストックの在り方に大きな問題があるとも言える。

供給を断ち、手元にあるもので何ができるのか?
なにを消費・処分しておく必要があるのか?
立ち止まって考えるためにも「ものを買うのをやめる」をなるべく習慣付けていきたいと思う2020年である。

さて、そんなわけで今夜の夕食はうちにあるものだけでスパゲッティを作ろうと思う。そこでこのテーマとなったのだ。


記憶のなかで一番古いスパゲッティは幼稚園の頃のこと。

休みの日の夕方に誰もがいない食卓を見ると、スパゲッティが作って置いてあった。湯気の出る作りたてのものがテーブルに置かれたばかりという状況だ。当時の家庭ではそれが一般的だったと思われる「茹でた麺」が袋に入っていて「粉末ケチャップみたいなの」で味付けをするやつ。ソーセージやピーマンなど、クラシカルなナポリタンを構成する材料も加えられていたに違いない。

当時、どれ程スパゲッティを好きだったのか覚えてはいないが、それを見つけた僕は誰もいないのに、おもむろに一人でスパゲッティを食べ始めた。我慢が出来なかったわけでもないが、皆を待って皆が揃ってから食べ始まるという概念を、幼児の僕は持ち合わせていなかったのだと思う。

数口食べたところで、背後から現れた母に声を掛けられ、一人で食べ始めていたことを咎められた。しかし、それは叱られる訳ではなく「食事は皆が揃ってから食べるものだ」と当たり前のことをやさしく諭されたのだった。

その瞬間まで、何の罪悪感を感じずに食べていたのに途端に自分がとんでもないエチケット違反をしていたことに気が付いた幼児の僕は、口の中のスパゲッティを皿に戻し、テーブルを立ち去った。そして、人に見つからないように一人で大いに泣いた。

その後、どうやって「皆での食事時間」を迎えたのか。その後のスパゲッティがどんな味だったのかも思い出せない。テーブルにあるスパゲッティを見つけ、一人で泣き出すまでの時間は数分だと思う。このことしか覚えていないが、40年以上経った今でもスパゲッティのことを考えるとよく思い出す。



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※写真はこの日食べたスパゲッティではありません。いつだか作った「冷蔵庫の青い野菜をまぶしたスパゲッティ」だと思います。