…と言っても「小津安二郎」でもなければ「北大路魯山人」でもない。今日出会った奇妙なお茶漬けの悪口を書くだけだ。
新宿に出掛けた。目的もなくふらりと遊びにいったのだけど、学生の頃に看板を見かけて気になっていた「とんかつ茶漬け」を探してみようという気になった。
学生の時のあの日、目にした信じられない感じのメニューは幻だった。今はもうない……何て言うこともなく、スマホで検索したらいとも簡単にヒットした。記憶にある歌舞伎町の入り口というのも「記憶のまま」だった。
結論から言おう。
ダメだこれは。
外で高いお金をだして食べるものではない。
1,580円の価値はどこにも見いだせない。680円ならとてもお得、まぁ880円が適正な価格だと思った。その価格で売られていても、やはり食べないのだが…。
まず、カツ。
鉄板に敷かれ、タレとキャベツで蒸焼にされているのでカツ煮のような「へなへなさ」だ。表でわざわざカツを食べるのなら、サクッと揚げたてのものでメシを食べたい。仮にお茶漬けにして「へなへな」にするとしても、最初から蒸焼にしておく必要はないと判断する。
キャベツも柔らかく炒めてある。生の千切りキャベツがお茶漬けに合わないだろうとの配慮だろうけど、このキャベツが殊更お茶漬けに合う訳でもないので不要。
メシとお茶。
これも特に美味いものではなかった。
メシだけでメシが進む…おかしな日本語だけど、事実それだけのパワーを持った美味い白飯は存在する。お茶もメシも不味くはないが美味くもない。
漬物。これも特にどういうことも無いのだけど、とんかつを茶漬けにするのなら、もう少しアクセントになる酸味の出た糠漬けとか沢庵を加えた方がいいと思った。「高菜がおすすめ」なんて書いてあったが、きっと糠漬けの古漬けの方が口をさっぱりさせて、さらさらと箸が進むに違いない。
「一皿で二度おいしい」とメニューの脇に書き添えてあったが、二度どころか一度も美味しさを感じなかった。悲しい食べ物だ。
茶漬けにおいて、とんかつの揚げたてサクサク感は不要。ならばスーパーの惣菜売場のとんかつで十分。それに炊きたての熱いメシと煎茶。古漬けを覚弥和えにしたものを添える。
これで5分の1の出費で5倍くらい美味しいとんかつ茶漬けが楽しめるはずだ。やらないけど…。