愛用のグラス

一週間のうちに2日あるいは3日、飲兵衛ではあるが、そのくらいは酒を飲まない日がある。

これは世に言う「休肝日」であり、僕においても実際に肝臓を労り休ませるために酒を飲まない日である。


無理をして頑張って「肝臓を休めるために酒を断つ」という感じでもなく、酒を飲む日が続いていると少しずつ酒が美味くなくなり酒が欲しくなくなる日が週に2日くらいはある…という結果である。

調子がいい時は、この休肝日は週1になることもあるし、送別会やら忘年会やら祭りごとが立てこむと、休肝日週0でブッ通しで酒を飲むこともあったが、この数年はそんな「人付き合いを優先した地獄のロード」を経験することもなくなった。


現段階での「僕と酒の接触頻度」というのはそんなものなのだが、自宅で寛ぐ時の欠かす事のできない相棒が酒であり、そんな具合だから酒を飲むグラスとの関わりもとても深いものだ。

自宅で飲む酒は本当に安酒なのだけど、美味しい一杯を楽しんでいる。この何年もウイスキーソーダで割って飲むことが圧倒的に多いのだけど、それを飲む時にいつも使っているグラスを割ってしまった。

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…これには、大変にショックを受けた。
「別注でオーダーしたバカラのグラス」とかでもなく、10年前に一人暮らしを始めた時に買ってきた無印良品のグラスである。

分類分けすると「ロックグラス」に属するのだろうけど、文字通りのウイスキーロックも、そしてハイボールもビールもシャンパンもワインも、このグラスで飲んでいた。ロックで飲むことなんてそんなに頻度はないのだけど…。

おそらく「3つで千円」みたいなセット価格のものを、2セット6個で買ったのではないかと思っている。詳しい事は思い出せないが、僕の「モノの購入習性」から推測するとそんなはずだ。

当初は6個持っていたはずのグラスも、10年のうちに残ったものはわずか1つになるまで割ってしまった計算になる。僕の中のグラス耐久年数を割り出すなら、グラスひとつあたり2年というわけだ。

このグラスが残り2個になったのは4年くらい前のことだったと思う。その時点で僕はよく似たグラスを買い求めて、同じモデルのグラスは基本的には僕しか使わないようにして、とにかくこのグラスを大切にしてきた。一つあたり300円もしないくらいの安価なものであっても、愛した道具というものは価格に関係のない価値がある。

グラスを割ってしまった状況とかは、またあらためて記す。とにかく今夜は、失われたグラスの冥福を祈り、残り一つとなったグラスで鎮魂のハイボールを飲むことにする。