河原乞食という生業

広末涼子が不倫をしていた…というどうでもいいことが話題になっている。

彼女に限らず、俳優でもお笑い芸人でも、人に芸を見せて施しを受けている職業に就いているなら、そうした私生活をネタにされても仕方ないだろう。本人は演技とか演芸を仕事の成果物として提供しているつもりだろうが、それに対価を払ったりその芸を楽しむ消費者側には「その人への興味」を含めての対価だったりするものだ。

こういう理屈においては「河原乞食のくせにプライバシーとか主張するな」と思うのだけど、そもそも「河原乞食が不倫やら倫理に背いたことして何が悪いのだ?」とも思う。

それをとやかく言えるのは直接的な被害を被った当事者であり、姦通罪で訴えたり離婚訴訟する際には「誰の何が悪い」とかその場で論じられるのは分かるが、他人には関係のないことである。

人格的に優れているから俳優になる訳では無いし、むしろ容姿端麗だったり話術に長けていたりして人を惹き付ける能力のある人がそうした河原乞食になり得るのだろうから、色恋沙汰など凡人よりも激しくて普通だと思う。

「女遊びも芸の肥やし」とか「情念の女」とか言うふうに、はめを外してハメることを褒め言葉のように言われてもいいのが河原乞食だと思う。別にちゃんとした生活をすることよりも、彼らは芸を披露しておもらいするのが仕事なのだから。

ただ、この不倫でCM契約の違約金を払うことになった芸能事務所などはビジネス上の当事者だからそれを咎める資格はあるし、そもそもプライベートを切り売りするような仕事をしているのだから、どうでもいいことを話題にされても「河原乞食なんだから文句を言うな」ということなのだろうと思う。