続 天下一品という食品

天下一品のことをこのブログに書いたが、僕はとっくにこの食品のことを記事にしているものとばかり思っていた。

この10年くらいはそれほどでもないが、18歳からの20年間くらいはそれはそれは好きな食物だった。だから、天一の思い出話などこちらに書いているはずだと思っていたのだ。

僕が生まれ育った田舎には天一などなかった。勿論、あのラーメンが京都で発祥したのも僕がとても小さかった頃のことなので、地域性というよりも歴史的にそんなラーメンは僕の身の回りにはなかった。

大学生になり一人暮らしを始めるようになって間もなく、4月か5月のことだったはずだけど、僕が当時参加していた応援団の吹奏楽部の先輩や同輩たちと天一に寄ることになった。先輩から「初めて食べるやつには口に合わないかも知れない」みたいなことを聞かされたが、僕はものは試しとばかりにこってりラーメンを注文した。

既に31年前の出来事なので、その時の味は覚えていないが「食べられないことはないが美味くはない。もう来ることはないだろう…」と強く思ったことを覚えている。

それまでに「こってりしたラーメン」というものは食べたことはあったが、そもそもそれまで田舎の高校生だったガキの外食経験などたかが知れている。脂がギトギトした豚骨くさいラーメンは好んで食べていたが、ポタージュというよりも更にドロドロしたスープに遭遇するのは初めてなのだから、違和感を覚えるのもごく当たり前な反応だと思う。

そんな天一との出会いだったが、数週間経ってみるとなんだかあの不味さが懐かしく思い出された。今日なら美味しく感じるのではないか?そんな思いから初対面から数週間後に僕は再び天一を食べてみた。…。……。

やはり、このラーメンは僕の口に合わないのだろう。分かっていたのにお金を無駄にしてしまった…。そんなことを考えながら店を後にした。

そして、そのまた数週間後。3度目の天一を食べる僕がいた。こうして天一を食べる間隔は徐々に狭まっていき、そのうち一週間に一度くらいは天一を食べるようになっていたし、1年で経つ頃には天一を好物だと公言するようになっていたと思う。

写真は僕が初めて行った大学近くの天一の写真。ネット情報によると数年前に弊店しているようだ。店の佇まいは覚えていないが、店内に2枚目の写真の「おみやげのオススメ」が貼ってあったことは思い出した。

最初は違和感を覚える。しかし、なんだか気になる。そのうち再開したくなる……天一との出会いは恋のようなものだ。そんなことを過去によく喋ったものだ。

そして、これと全く同じメカニズムで後に好きなった食物としては名古屋のあんスパがある。あんスパ天一≒恋……どれも濃いよね。そんなことを言っていた若い頃は胃でもなんでも丈夫だったよなと思う。