モノホンの虫

僕が住んでるオンボロマンションも数年に一度の外壁工事をやる…とのことで、この夏はなかなか不便な思いをしている。

マンションを包装するかのように建物周囲に布が張られているので、まず日当たりは最悪となった。そして、そんな布が張られているいるものだから、人んちのベランダへも侵入し放題という状態で、派手に忍び込んだところで外からは見えない。このため、昼夜問わずに窓を閉め切ってカギをかけねばならない時間が増えた。

そして結構広いベランダに沢山置いていたプランターも共有スペースの廊下などに移さなくてはならなくなった。これは移動させる作業も面倒ではあるのだが、それ以上に日照条件は劣悪というかほぼ陽の差し込まない廊下に置かれたプランター植物はほぼ兵糧攻めにあっているようなものなのだから、次々に弱っていき、ものによっては結構簡単に枯れていくのだった。

幾つものプランターを廊下に運び込んだが、山椒やらアボカドやらカレーリーフといった鉢植えは僕の部屋へと移しておいた。こうして鉢物をリビングに置いていたことがこの後の事件をまきおこす…。

 

昨夜の出来事だが、僕は足裏の角質取りのピーリングみたいなことを行っていた。足をピーリング用の溶液に浸してビニール袋でくるんで足をふやかすような作業だ。

足を水の入った袋でつつんでいるので機動性も良くないし、なんだか足が自分のものでもないような気がして、そもそも自宅にいるのになんだかよく知らないところにいるような変な気持ちで過ごしていた。

そんなピーリング作業中に足元に目をやると足元に虫がいた!

「でたッッ」と叫んですぐに臨戦態勢を取ることも出来ず、そこにいきなり虫がいることに驚いた僕は「わ……わ‼」とまずは慄いていた。

数秒はそれが何者なのか?そして、なぜこんなのがここにいるのか?なんだか訳が分からなかったのだが、数秒経ってから僕はすぐに殺虫スプレーを手にして侵入者をやっつけた。 

この一連の出来事は、ベランダから室内に移した植木鉢の底などにへばり付いていた虫が室内を歩き回った…という訳なのだが、部屋に扉がついていなくて外からは「ギチギチ」と音を出すようなやつが侵入してきたら、本当にチビると思う。刺股を手に持って勇猛に立ち向かったりなど出来ないだろう。ウチには扉がちゃんとあって、虫が自由に出入り出来る環境では無くて本当に良かったと思う。

 

昨夜の侵入者。こいつが足元にいたときには本当に驚いた。普通にウチの中にいるやつではないからね。