潰れる店

三連休の最終日の夕方、ウチから近くの商業施設に行ったら、とある店が閉店することになっていた。「キッチンストアなんちゃら」というその店は、料理に便利そうなものが色々と置かれていて見ていると楽しい店なので僕は好きだった。

しかし、好きだったからと言って僕がそこで何かを買うかと言うと、確かに少しは何かしらを買ったこともあるのだが、実際にものを買うことはほぼなかった。

ここは「便利そうに見えてカッコいいけど、実際は大した道具ではないもの」とか「雰囲気を漂わせようとしているけど、実質は軽薄な貧乏臭さが漂うようのだけど安くもない食器など」の品揃えが抜群なので、そいつらを眺めて反面教師として何かを学ぶとか、呆れながらもそこの商品ラインナップのセンスのなさを笑いものにするには本当に楽しい時間を過ごせる店だった。

ここは僕にとっては「見る店」であり「買う店」ではないのだ。そしてそれは僕だけではなく、この町に住む多くにとって「見るだけの店」だったのだろう。

まあ、そうやって考えてみると、テナント料は払うし商品も仕入れるのに特にものが売れないのだから、潰れるのも仕方のない店だったことに気が付いた。残念なのことなのだけど…。

 

そんな訳で、僕は閉店記念として何も安くなっていないキッチン用のトングをひとつ買おうとしたのだが、僕同様に餞別記念でものを買う人が多いようで、5分くらいレジ前で並んだけど列は一向に短くならなかった。おそらくレジの店員が相当にポンコツなのだろう。

まあ、今日買うこともあるまい…と帰宅したのだが、ポンコツ店では2,200円で売られていものがAmazonでは1,650円くらいで売られているのを知った。

当たり前だけど、僕はそちらを購入した。そして当たり前だけど、このポンコツ店が潰れるのも当然の摂理なのだと強く感じた。