「八甲田山」

数日前の土日は、末娘との勉強に加えて遠方よりやって来た舎弟を交えての会食…という楽しい時を過ごした。

この舎弟とは「夏の盆近くで、戦争と平和について考えるに良さそうな時期」を選んでは、この何年も一緒にその時期を過ごしている。そんな訳で、先週の土曜日は夕方前までは末娘との勉強に励み、途中からは舎弟も一緒に勉強をして、夕方からは宴席に臨む…という盛り沢山な週末を過ごしていた。

その際に、ここ数日でブログに記した「火垂るの墓」を2作品ぶっ通しで鑑賞したのだが、その翌日の日曜日は朝から「八甲田山」をDVDで見た。

この「八甲田山」という作品の存在は知っていたが、これまでに見たことはなかった。

この夏、青森を訪れた際に「青森と言えば…」という感じのテーマで旅に随行した息子娘の二人と話をする中で、「お前たちは八甲田山って知ってる?」みたいなところから、この映画の話題になった。

僕も見たことがない中で、その場でネットで調べた知識で3人がそれぞれに想像やら感想を言い合う。大したことのない会話なのだけど、僕はこうして息子や娘と「取るに足らんことを喋ること」が好きだし、こうした会話を生み出す機会があるということに「のんびり旅」というものの楽しさがあるように捉えている。

そんな「八甲田山」を各種ネットサービスで見てみようと思ったのだが、アマプラにもyoutubeの違法動画にもそいつを見つけることが出来なかったので、旅から戻って割りとすぐに中古DVDを購入しておいた。そんな作品を舎弟とともに鑑賞したのである。

 

高倉健北大路欣也の主演の二人に限らず、三國連太郎丹波哲郎大滝秀治など、その時点でキャスティング出来る限りの贅沢な配役で「こんなところにこんな人が!」という発見の楽しさはあった。

雪山でのロケを実際に八甲田山で行ったのかどうかは知らないが、四季を通じてフィラーとなる映像が撮られていて、雄大で優しい春や夏の八甲田の様子を出すことで冬山の厳しさを際立たせようとしたであろう演出もよかった。

……しかし。

現在のドローンを駆使した彩明な映像からは数段汚く見える映像だし、何しろ吹雪の雪山での遭難シーンが見せ場になるのだから、誰が誰なのか見ても分からないし、吹雪の音が邪魔して何を喋っているのかもよく分からないのだ。

鑑賞後にウィキで調べて「あの時のあの人はこの俳優だったのか⁉エキストラでもよかったじゃん。」なんて気がつくような始末。

公開された時、この映画は大ヒットしたそうだが、それも50年近く昔のことだ。人々の目は今程肥えていなかったし、他のエンタテインメントも乏しかった時代だ。中には「そんな時代背景など全く関係なく素晴らしいと称賛される古典名作」もあるが、これはそこまでのものではない。とにかく配役の豪華さで話題を作ってヒットに結びつけた、良くて佳作というようなものだと思った。