旅ではなく「旅行」

末娘の高校受験も終わった。遂に我が家から義務教育を受けるガキもいなくなる。徐々にではあるが、家族構成員もそれぞれの道を歩み始め、個々の生活を送るようになることは嬉しいようでもあり、やはり寂しいようにも思う。

さて、末娘の義務教育卒業に合わせて僕…だけでなく子供たちと舎弟を従えて旅に出た。僕にとっての「旅」というと、ひたすら列車に乗ったり、知らない町の日々の生活を垣間見ることだったするのだけど、今回の旅は「一般に言う観光旅行」だった。

前述のとおり、僕個人は「紀行のようなものこそ旅」だと思って生活しているので、僕はこれまでに子供たちを観光ホテルに連れて行ってやったことなど無い。それ故、我が子たちは「ホテルというものは粗末なワンルームマンションのようなところで、ほぼ睡眠をして荷物を置いて体を休めるためだけにあるところ」としてしか認識していないのだろうと思う。

これは本質的には正しいことだと思っているのだけど、やはり「人としての経験の幅を子供たちに提供してやっていない」という点では非常に申し訳ない気持ちになるものだ。我が子たちは、非日常の探検でもしたくなるような大きなホテルのワクワク感など知らずに過ごしてきているのだから…。

そんな子供たちをそのうち、なるべく早くに連れて行ってやりたい…と思うホテルに昨年の秋に出会った。仕事で縁のあったところであり、僕自身が泊まったりした訳でもないのだが、そのホテルの佇まいに僕は惹かれた。

半年近く前に初めて訪問したホテル。写真を撮った日付を見ると10/17、ちょうど半年前だった。

娘の受験が終わったら…。そして、彼女の受験とは関係のない長男や長女も連れて一緒にここに泊まったら彼らはどれだけ喜ぶだろうか…。そんな半年間の思いを遂げるために、先日このホテルを訪れたのだった。