雨の夜に思い出すこと

梅雨らしい気候が続いている。

今日、仕事を終えて帰宅するときには雨は止んで、雨上がりの涼しいような少しムッとするような湿度の高い夜が僕を待っていた。

湿度は高いものの、降り続く雨の「打ち水効果?」なのだろうか、そんなに暑くもない夜だった。雨上がりの匂いがしてくるようにも感じた。


こんな夜をどこかで体験したな…と思い出していたら、それは中学生の頃の夜のことだと思い出した。


今日のような雨上がりの夜に塾から帰って来て、薄暗い自室で眠る前のひとときを過ごしていた。そんなに暑くもないので寝苦しい夜などではないが、快適な訳でもない。

そんな夜に僕は塾に行くときに買っていた手塚治虫の「バンパイヤ」を読んでいた。

「バンパイヤ」は僕が生まれるよりも前に描かれた怪奇マンガなのだけど、生あたたかいような梅雨の夜に読むには不気味さも倍増して、なんとも言えない気持ちになりながら夢中で読んだことを覚えている。

なんかの罪悪感を感じるが、読むことを止められない…同じような気持ちを「楳図かずおの怖いマンガ」とか読んだときにも感じたことを思い出した。

これはもう35年くらい前のことだ。


今夜は久しぶりに「バンパイヤ」を読んでみようと思う。

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マンガ本と酒とつまみと煙草。35年前の少年だった僕の自室には存在のしなかった「大人のワルイもの」に囲まれた夜。サイコーである。
人の欲望とか野心や良心の在り方を描いた「バンパイヤ」を読むにはうってつけのお膳立てである。手塚マニア以外には大して面白くもない作品なのかも知れないけど、面白い作品だ。
まあ、僕が面白くないと思う手塚漫画なんてほとんど無いのだけど…。