息子の旅立ち

さて、今日から4月で新年度である。

新年度を迎えた僕の勤め先もそれなりに忙しいのだけど、プライベートもそれなりに忙しい。

浪人をしていた愚息がなんとか大学に進学することになり、そんな彼も明日には実家から下宿先へと旅立っていく。

下宿の下準備は僕が行っていて、更には下宿の設備調整も僕が息子と共に行うのだから「親バカにも程がある」という状況だ。

今日は普段よりも仕事が長引き21時過ぎに帰宅したのだけど、そこから息子の下宿に持ち込む家財道具を選定している。

物持ちの良い僕のウチには「当面使うこともないであろうなにかの金具」とかあるのだから、そんなものを整理して持ち出そうと支度をしていたのである。


だらしのない息子がこの街を離れて自分一人のテリトリーを持つことなんて、彼にとってはとても楽しいことだろうし、しかしその一方で子離れしきれていない親からするとそれなりに寂しいものだろうと想像していた。

しかし、その前夜に金具やら彼に与えてもいい食器などの家財道具を整理していると、ちょうど30年前に一人暮らしを始めた自分の時のようにそれなりにワクワクしてきて、今は寂しさなど微塵もなく一人暮らしを始める訳でもない僕がワクワク、ウキウキしている始末だ。


明日の今頃は僕は息子の新居にいて、引越作業に疲れ果てていて、そして酒でもかっ喰らって眠っているのだろう。

成人に近い息子がたかが一人暮らしを始めるだけだというのにそれに一喜一憂するなんて親バカが過ぎるのかも知れない。しかし、そんな感覚を持つのも「今ならでは」と捉えて自己正当化するバカ親がここにいる…。