昼食のこと

季節感を感じるものを食べて生活していたいと思っているから、それなりに季節のものを食べる。


僕が中学生の頃には「貧乏家庭はエンゲル係数が高い」と習っていたが、現在の貧乏家庭はエンゲル係数が低いという見方もあるようだ。

欧米での見方の一つのようだが、低所得者層は食べるものにかけられるお金にも乏しいから、安価なインスタント食品や低価格でも高カロリーなファストフードを主に食べることで満腹感を得る傾向にある…という流れが根底にあっての考えただそうだ。

何を持って貧乏家庭などと呼ぶかは「一般には家庭の収入額」によるものだろうし、係数なんてものは数値化したものであるのが前提だから、高所得者層のほうがエンゲル係数が低くなりがちなことには間違い無いだろう。しかし、敢えて収入額だけでは量れない点でエンゲル係数のことを考えてみよう。


僕は日々の昼食に弁当を持参する。これはちゃんとした弁当でもなく、メシとなんかのオカズを容器に詰めただけのものだったり、食パンに何かを挟んでケースに入れただけのものだったりなので、弁当と呼ぶより「ウチから食品を持ち出して食べている」というのが正しい。

持ち出しメシの良いところは、まず安価なところだ。コンビニで買っても会社近くの飲食店に行っても値段と満足度が釣り合うことは多くない。

ここに全てが集約されているのだが、僕が持ち出す食品が単に安価なものばかりというとそうではない。勿論、安いものも多いが、手間のかかり方と食材によってはコンビニ弁当よりも高価だったりする。満足度は比較にならないくらい「持ち出しメシ」の方が高い。

外でこの満足感を得ようと思ったら幾らかかるのだろう。結構豪華なものを食べないとその穴は埋められそうにないし、豪華なものが必ず食べたい訳でもない。単純な昼食の価格だけでなく、何を幾らで食べるのかが重要なのだ。




ここ最近の持ち出しメシだが、どれも「前夜の夕食で作っていたものとか残り物」かと思うと、そうではなかった。いずれも弁当の為に調理して、むしろ弁当に入らなかったものを朝とか夜に食べているのだった。

1枚目の写真である「サバの塩焼きの弁当」の値段について説明してみよう。サバは一切れ50円くらい、半額で売られていたものだ。ノルウェイのものじゃないので、ちゃんとした魚の味がする。梅干は昨年の夏に漬けたもの、価格はめちゃ安い。瓶詰は山葵漬でこのひと瓶の材料費で600円くらいはすると思う。この一食で、山葵は3分の1くらい食べたからこの日の弁当代は300円くらいだろうか。

300円で買ってきたものなんてきっと満足感を得られはしない。僕はこうした弁当の支度をしていることも楽しいし、つまらん昼飯に金をかけることへの嫌悪感も人一倍だと思う。

コンビニの弁当をこのメシと比較すると高価であるに違いない。昼飯だけを切り取ってみるとコンビニ弁当の人は僕よりもエンゲル係数は高い。

しかし、作ったり買ってきたりするのが嫌で、とにかく外でそれなりに美味しいものを食べていたい人は、もっとお金を使うだろう。

この3パターンが「同じ収入」だとすると、昼食におけるエンゲル係数
①外食で美味しいものを食べる人
②コンビニで買ってきて食べる人
③持ち出しメシを食べる人  の順になる。

では、持ち出しメシを食べるかどうかでエンゲル係数の高低が決まるかというと「豪華なものを買っておいてそれを料理して弁当にする人」なんかがいると、その順位もぐしゃぐしゃになる。