バジルを食べる

しばらくベランダ菜園のことを書いていなかったが、菜園は特にトラブルにも巻き込まれず順調について育っている。

ゴールデンウイークに種を蒔いたバジルはすくすくと育ち、6月には一度収穫して娘二人とスパゲティーのバジルペースト和え(この食べ物のことはジェノベーゼと呼ばないのが正解)にして食べた。
https://datetaira.hatenablog.com/entry/2022/06/14/074557

その後のバジルはと言うと、元気に葉をつけていくのだが、その成長とは裏腹になかなか食べようという気が起きなかった。

バジルという香草は癖が強く、一度食べると僕の場合は数ヶ月は食べなくていいような気になる。これに対して紫蘇はそれなりに癖があるものの週に何度も食べることが出来る。

一つにはバジルを食べるのが洋食、それもイタリアンであり、紫蘇は和食であるというところにその差があるように思う。

スパゲッティは美味しいし好きだけど、毎日食べようなんて思わないし、せいぜい月に2回くらいが美味しく感じる頻度のように思う。紫蘇は刺身のツマに使うこともあれば、トマトとオリーブ油と混ぜてサラダにしてもよく食べる。

そう言えば、バジルもトマトと一緒にサラダにして食べるから何も「スパゲッティを食べたい頻度問題」ではないようだ。しかし、紫蘇とトマトのサラダなら数日に一度は食べても平気だけど、バジルとトマトのサラダは年に一度くらいで充分だ。

バジルと言うのは食べた時の印象が強く、底で感じる美味しさの度合も強いのだが、その強さゆえ、頻度は多く要らなくなる「癖の強いゲスト俳優」みたいな感じなのだ。

これに対して紫蘇は癖はあるものの嫋やかな物腰も併せ持つので「とりあえず何でもうまくこなす便利屋二枚目俳優」みたいな感じなのだろう。


さて、そんなバジルであるが、僕のウチのプランターのものはついこの間、倍増した。

ニョキニョキと背が高く伸びていくバジルだが、花を付けそうになったので花芽のつきそうなところを切り取り、切り取ったものは別のプランターの土に挿し込んだのだ。

テキトーに種を蒔いておいたバジルだが、大きくなったものを数えると20本ばかり生えていた。これらの多くがそろそろ蕾を付けそうなくらいに伸びてきたので、まっすぐに伸びているところを摘み取ったのだ。

あまり量はないように思っていたのだが、20本のバジルの茎(と言っても先端の方)に付いている葉っぱなんて大した量はないとタカをくくっていたが、イッポンの茎から4枚、多いものでは8枚くらいの大きな葉が取れた。ザルいっぱいになるくらいの量だ。

こんなに取れてしまって捨てるのも勿体ない。
手早くフードプロセッサーで轢き潰してバジルペーストにして、翌日には後輩をウチに招いてバジルペーストのスパゲッティを食べさせた。


……。
その夜、結構な量のバジルペーストを消費したにも関わらず、まだウチの冷蔵庫にはバジルペーストが残っていた。

そんな理由で今日の昼食もバジルスパゲッティだった。
鮮烈な香りのこいつは美味しいのだけど、度々欲しくなるものでもない。アクの強い仲良くもない友人が遊びに来て、数日帰らずにウチに居座られたような気持ちだった。美味しかったけど…。


プランターに挿し込んだバジルもすくすくと成長している。秋が深まる前にもう一度バジルの収穫期がやって来てしまいそうだが、次は誰かにゴソッとあげようかと思っている。