今回の旅では福山に一泊したのだが、その時の失敗談を記しておこう。
行先を特に決めず、その場の気分でどこの町に泊まろうか?と自由に決められることが本当に贅沢なことだと思っている。
泊まる場所や訪問先、更には途中の経路から立ち寄るところのすべてを計画立てる人もいるが、そういう旅とは一線を画すものなのだ、この夏の僕の旅は。
細かな計画を立てるとその計画に縛り付けられてしまうし、自由な休みを満喫するはずなのに、移動計画の遂行に追われるような不自由な時間を過ごすことになるのは勿体ない。
そんな訳でなるべくルーズな計画で旅を進めていくのだが、夕方前くらいになって今夜の宿泊地は福山にしようと決めた。
そこでホテル案内のサイトで一部屋予約しておいたのだが、これが「極悪案内サイト」であった。
案内サイトに頼り、細かな点を他のところで調べなかった「僕の負け」なのだが、ホテルに着いてマジで驚いた。
街外れにあるそのホテルまで「こんなに遠いのか⁉」なんて思い汗だくになりながら歩いて行ったのだが、このエリア一帯に漂う不穏な空気はすぐに感じられた。
明らかに「気質の街」ではないのだ。
その空気感はピタリと的中し、僕たちの予約したホテルは紛うことなき堂々たるラブホテルだった!
人目に付かないようにカーテンを張られた駐車場の入口なんて、20年ぶりくらいに見た気がする。人通りの多くはない郊外のラブホテルの見本のようなホテルであった。
暑い夕方に息子と二人で歩いて行って、ホテルに到着したら「なんじゃこりゃあ!」という状態だったので、そこにはチェックインする訳もなくバックれた。
こんなところに泊まってられるか!という気持ちだったが、大学生のころ友達と無計画に出掛けた旅先で泊まれるホテルがなく、男の三人でラブホテル(というよりモーテルと呼ぶ方が相応しかった)に泊まったことを思い出した。あれは今から30年前のことだ。
僕たち親子は福山駅周辺にまで歩いて戻り、至って綺麗なホテルに宿泊したのだが、「ホテル粋」に泊まってみても面白かったのかも知れない。