よくよく考えると、知らない町で生活を始めるのは13年ぶりのことだった。
細かなことは分からなくても、どのあたりに行けば何があるだろう…というようなことが分かるならば、それは「知らない町」ではない。何か買うにしても東西南北どちらに行くのが正解なのかも把握していないところで過ごすというのも新鮮で面白いと思う。
さて、僕が沼津に越してきたのは一昨日のことだ。2日…というより、越してきた初日に受けたインパクトを書き留めておく。
列車を降りて驚いたのが、やたらにオタクアニメで溢れかえっていること。たしか沼津が舞台になったアニメなのだけど、本当に町を挙げて「アニメによる国内インバウンドを欲している感」がスゴい…。商店街やらラッピングバスやら、なんでもかんでもアニメ推しなのだが、これはもう何年も前のアニメではないのか?
古典であっても古いものでも面白い作品というものはあるのでアニメの古さについては問わない。しかし、まちおこし的にベタベタと利用するとそれは一過性の流行に乗っただけのもののように感じられる。
流行に乗ったプロモーションというものは流行っているその時はいいのだけど、それが古臭く感じられては駄目だ。そうなる前に別のものに更新しておくべきなのだ。ちょっと古臭いのでは…。そんなふうに捉えられるアニメ全開でシティプロモーションを行う沼津に田舎町のダメっぷりを見た。
あと、沼津で改めて思ったのが「ここはクルマ移動が中心」ということ。面積で言うと日本の9割以上は田舎なのだから、余程便利な町に住まない限りクルマ移動が中心なのは突然のことだろう。
引越してきたその日にカーテンがどうしても欲しくて郊外の店に買いに出掛けたのだが、歩道や路側帯の舗装が粗くてチャリンコで走っていると躓きそうになった。
歩道を歩く人も少ないのだろう。歩道の脇はおろか、ど真ん中にもススキのような大きな雑草が生えていたりもした。これは雑草駆除をしようという民度とか行政の道路整備の問題意識の薄さによるものかも知れない。しかし、自転車にとってこれだけ走りにくい道であっても車道はきれいになっているのだから、使用者の多い設備はちゃんとケアされるのだな…と思った。
あと、下手くそな運転者も沢山いた、左右を確認せずに直進してくるやつとか。クルマをよく使うのだから運転技術も向上する人もいるだろう。しかし、そもそもの注意力が散漫で運転に向いていない人であってもこの町に住んでいればクルマを運転するのだ。便利な都会ではこうした人がクルマを運転することが稀なので、そこまでの下手くそを目にすることもあまりない。
アニメとクルマ。これが僕が引越初日の沼津の印象。あとはバカッぽい若者がコンビニ近くの路上でタバコ吸いながらジュースを飲んでる光景もこの町では割と普通に見える。ジャージのようなカッコいいスタイルの人がコンビニにドカドカと入ってくる光景も久しぶりに見た。
とにかくダサい町なのだが、これが日本の標準値なんだよな。いや標準値はもっとダサいのかも知れない。そして田舎者の僕にはこのくらいのダサい町がちょうどイイのかも知れない。これを考えさせられたのが沼津の第一印象。